困った時に助けてくれた人は絶対忘れない

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ワイン好きな友人に誘われて、銀座の有名なステーキ店に出かけました。

今回の素材は牛肉ではなく、千葉の外房で獲れたという1キログラムを超える巨大な最高級アワビ。アワビ尽くしのスペシャルディナーを、参加メンバーが持ち込んだワインと一緒に堪能しました。

海藻を20年以上食べ続けて大きく育ったアワビは、調味料を使わなくても、思わず笑ってしまうような異次元の味わいでした。

同時に、お会計も今まで見たことのないような人生史上最高金額で、最後に思わず酔いが覚めました。

アワビの包丁さばきの技術もさることながら、この店の強みは圧倒的な素材の調達力です。

最高級といわれ、年間数百個しか獲れない千葉産の巨大アワビのほとんどは、このお店が買い付けています。

その理由の1つは、買取価格に関しては一切の価格交渉をしないことです。だから、数を確保できているのです。

そして、もう一つの理由は、どのような時期でも獲れたものを全て引き取っていたからです。

コロナ禍で飲食店の営業ができなくなった時期、アワビのような高級食材はレストランからの需要が激減し、納品先がなくなりました。

こちらのお店も営業は厳しかったと思いますが、そんな仕入れても大赤字になるような時期でも、すべてのアワビを買い取り続けたそうです。

それによってアワビの取り扱い業者との信頼関係を確立し、今でも優先的に商品供給してもらえるようになっているのです。

大雨の時に傘を貸してくれた人の事は、忘れないものです。

苦境に陥っている人がいたら、見放すのではなく、その時こそ手を差し伸べるべきなのです。

成功したときだけ、急にすり寄っていく現金な人がいますが、そんな人は有り難がられる事はありません。

私も10年前の起業当初に助けてくれた人たちの事は今も忘れていません。

銀座のステーキ店で大切なことをまた1つ教えられました。そう考えれば、とてもお値打ちなディナーだったと、少しだけ思えるようになりました(やせ我慢w)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。