中高年の最もリターンが高い投資は「体力づくり」

黒坂岳央です。

昔から意識的に「実年齢+20年後向けの書籍」をずっと読み続けてきた。たとえば20代の頃は40歳からの勉強法とか、30代では50歳からの仕事術やキャリア論みたいな本ばかり読み漁ってきた。こうすることであらかじめ先回りして必要になるスキルや知識を理解することができ、先手を打つことができるからである。

今は40代になったので60代、70代向けの本を読むことも多いがそれまでは「ビジネススキル」「資産運用」といったテーマが中心だったものから「健康」「体力維持」というテーマにガラリと変化したのを感じる。そしてそれらの書籍で共通して書かれているのは「中高年以降は体力の貯金を作っておかないと、寝たきり老人や背中が曲がって独力で歩くのが困難になる未来が待っている」という恐るべき記述だ。

自分自身がそうなることを信じたくなくても、生命体である以上は老化現象に抗うことはできない。唯一、自主的に体力づくりをするという例外を除けば。

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健康は人生最大の資産

まず強く認識するべき事実として、「健康はお金や時間、人間関係、社会的地位などありとあらゆる要素を超えて最重要なQOLを決めるファクター」というものである。

若い人にこんな話をしても一笑に付すか、聞き流されるだろう。否、40代くらいにも同じ対応を受けるかもしれない。なぜなら学生時代は健康と時間はあってもお金がなく、若い社会人は健康とお金はあっても時間がないため、健康を損なう経験をしたことがないからだ。

手前味噌でおこがましいが、筆者は健康には自信がある。病気で寝込んだ記憶はほぼないし、かかっても一日眠れば翌日には必ずといっていいほど平熱に戻ってきた。ありがたいことに元々強い体に生まれたのだろうと勝手に思っている(勘違いであれば恥ずかしい限りだが)。しかし、だからこそ慢心してはいけないと思っている。

どんな人でも無敵ではなく、生命体として必ず老化とともに弱っていく。それは病気に対して脆弱になるというだけでなく、体力も衰えてくるのだ。寝たきりや腰が曲がるというのはある日、突然そうなるのではなく毎年筋肉が償却していき、それを蓄積した結果である。40代前半までは運動を何もしなくても肉体は維持できる。問題はそこから10年、20年先だ。

現代人は誰しも忙しい。しんどい運動など好き好んでしたい人はほぼいない。ネット上の意識の高い人達を見ると、まるで世の中には運動好きが大量にいるような錯覚を受けるがそれは印象に過ぎず、できればやりたくない。運動に使う時間とお金は他のことに使いたいというのが本音だろう。だが、今運動することをケチると、必ず将来複利で時間とお金を奪い取られる。これはほぼ確定的未来なので意識的な努力で回避するしかない。

仕事や娯楽も体力あってこそ

なぜ本稿タイトルは「体力づくり」であり、「健康を守れ」という言い方をしなかったのか?結論、そうすると誤解する人が現れるからだ。

健康を維持する、というと食事でなんとかしようと考える人は少なくない。飲み会を減らすとかジャンクフードを減らすという形で健康を守ろうと考える。確かにそれ自体は正しいアプローチであり、健康は確かに守られる。だが、体力は運動することでしかつかないのだ。だからタイトルを運動不回避という意味合いを込めて「体力づくり」としたのである。

仕事をバリバリこなすのも、お金を使って旅行や遊びに出かけるのもすべては体力という資源を必要とする。お金や時間がなければ、創意工夫でなんとかなる。時間がないなら、日帰りで国内旅行を楽しんだりお金が無いならないなりの貧乏旅行もあり得る。だが体力がなければ何も始まらない。文字通り自宅でじっとすることくらいしかできない。つまり、時間やお金といった人生資源を活用するための土台となるのが体力であり、体力がなければ仕事も娯楽も何もできないのだ。

理想的にはパーソナルジムで本気で筋トレをすることかもしれない。だが懐事情や時間の制約で難しいという人も少なくないだろう。そこでおすすめしたいのがウォーキングである。正直、足腰を鍛えておけばかなり救われる。

足腰を鍛えるメリットは数多くの医学専門家が主張しているのでその効果の高さは間違いなく、さらに都市圏に住んでいる人なら職場の通勤定期の1駅分余分に歩くだけで毎日確実に運動ができる。お金はいらない。イヤホンでYouTubeでも聞きながら毎日歩けばいい。筆者は頑健さが自慢だと上述したが、もしかしたらずっとウォーキングの歩数を稼ぎ続けてきたからかもしれないと思っている。

ビジネススキルや株や債券への投資もいいが、個人的には体力づくりへの投資リターンを考えても良いと思っている。

 

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