NHK7月世論調査を解説してみる

NHKの7月の調査を見るとまたまた失望する・・・

世の中の世論調査はRDDといいまして無作為に電話をかけます。昔は固定電話だけだったのですが、いまは携帯と半々くらいです。が今どき若者が固定電話にでる?

んで携帯電話だとしても知らない電話に出る??

NHKの説明では「携帯電話の普及状況を考慮して、2022年7月調査から固定と携帯の目標回答数の割合を5:5から4:6に変更しました。※層別分析をする場合は、各層の人数が100人以上であることを目安としています」としていますが、そもそも固定電話だったり携帯で知らない番号に出る時点でリテラシーは低めですよね。

回答率は固定電話のほうが高く、全体的に高齢者に回答が寄っているのがわかります。もちろん統計的な補正はいれていると思いますが、それでも圧倒的に高齢者に寄ってると思われます。

全ての世論調査がこうなのです。高齢者に寄ると言うことは実は政治的な支持率とかについては高齢者の投票率が圧倒的なので現実に則しているということにはなります。よく「Twitterでは××党の支持者が多いのに選挙では反映されない」とかいう人がいますが、当たり前だ、いくら支持したって選挙に行かなければ票ははいらない。

マイナンバー制度の普及の敵は高齢者層

詳しい内容を見ますと、

となりまして、高齢者ほど下がったのが分かります。

これをもっと報道では「マイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブルが要因」とかいうのですが、もちろんそれもあるでしょう。なにせ、

高齢者ほど明確に賛成が少ない

わけです。マイナンバーを導入しないと日本はにっちもさっちもいかないほど無駄や不正で燃料タンクからダダ漏れのオンボロ自動車みたいになってるわけですが、高齢者の基本は「今さえ乗りきればいい。自分が死んだら勝手にしてくれ」ということですので変化には反対します。大阪都構想を見ても明らかでしたよね。

マイナンバーと紙の保険証についても

年代が上がるごとに「延期しろ」が優勢になり、高齢になると「撤回しろ」が最優勢になります。

紙の保険証の不正利用による被害はどれくらいあるのかというと、2003年のこちらの資料では、

となっており、「保険情報の誤りや不正使用は、全国で年間600万件にも上っており、その処理のための経費は1000億円を越える」と明記されています。注意すべきはその処理のための経費であり、不正使用の損害額ではありません。発覚してないものや不正が発覚しても回収できなかったものを考えると年間数兆円はいってると考えるのが普通です。

こうした不正利用を無くすだけで増税などしなくても少子化対策の財源など出るわけです。ですが面倒だから紙のを残してくれという人たちは「そんなことは知ったこっちゃない」と言うわけですね。野党支持層に明確に撤回しろ派が多いのは、高齢者が主なのか、それとも別に日本がどうなってもいいやなのかは不明です。

いつも言ってるようにあと5年もすると団塊の世代は選挙に行かなくなり、変わって団塊ジュニア(現在49~52歳)が主導権を取ります。この時まで待つしかないのでしょうか。

岸田内閣の支持率低下、不支持率アップの本当の理由

わたしは支持率についてはもちろんマイナンバーもありますが、もっと感情的な要素が大きいと思います。

一番考えられるのがコロナ対策です。現在も第9波がくるくると4月から言い続けていますが、軽くアンケートを採ってみましたが、

オミクロンになってから明らかに重症化率は下がりました。先進各国ではオミクロンになった時点で「もう恐れるべき疾患ではない」としてすべての制限を撤廃しましたが、日本は第8波の時も世界で唯一、鎖国を続け、やっとまともになったのは5月くらいからです。

菅さんの時もそうでしたが、コロナの不安が高まるときに経済対策をしようとすると必ず支持率は低下し、不支持率が上昇します。これでは永遠に経済対策などできないわけですが、コロナの不安を訴えるのは高齢者が多いのでこうなるわけです。実際に景気に対するイメージは、

ほとんどの人が景気が良くなったとは感じていない・・・・・。円安を理由に値上げができた企業は売上が増えているわけですが、観光地なども「コロナ前に戻った」とはいうが、諸外国は「コロナ前の何倍も景気がよすぎてピークを超えた」みたいなわけで、世界で景気が悪いのは厳しい規制をした中国と最後まで鎖国をしていた日本ということになっています。

こちらは4月の日経ビジネスの記事

「籠もるニッポン」、海外旅行の回復出遅れ 観光立国の足かせにも

「籠もるニッポン」、海外旅行の回復出遅れ 観光立国の足かせにも
新型コロナウイルス禍からの回復が著しい訪日外国人(インバウンド)とは対照的に、日本人の海外旅行(アウトバウンド)が伸び悩んでいる。円安や燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の高騰の影響が比較的小さい韓国への渡航者数も、2月時点で2019年同月比で約4割の水準にとどまる。長引いたコロナ禍の影響で海外旅行を敬遠する消費者が...

夏休みはやっとコロナ前の水準に戻ったという報道もありますが、全体としてはそうでもない。いまだ日本人のマインドは戻っていない。

その理由としては、

いまだにコロナに対して6割の人が不安に思っているわけです。

これでは経済の復興もへったくれもない

実際、中小企業の倒産はここにきて

ゼロゼロ融資返済が影響 企業倒産が3年ぶり4000件台に 令和5年上半期

と、ヤバい水域に入ってきています。

零細企業などはこの統計にははいらないので実際には相当数の倒産ラッシュ。

世界ではもうとっくにコロナは過去のものとなり、経済を再開し、めっちゃ好景気になりすぎてインフレになって今度はピークを超えたあたりでまだ日本はまともに経済も復興していないのです。怖い怖いもいい加減にしてほしいし、煽るのも止めて欲しい。

ある程度の犠牲を社会が受け入れて前に進まないと、これではどんどん日本の寿命が縮まって行くのです。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年7月18日の記事より転載させていただきました。