元愛知大学生、反戦デモ参加で退学処分問題の論点

Nadya Ustyuzhantseva/iStock

反戦デモに許可なく参加したなどとして、愛知大学が学生自治会役員の学生3人に退学の懲戒処分を通知、それに納得がいかない元愛知大生3人が再審査請求したことが話題になっている(『中日新聞』9月22日)。

大学が学生3人に退学の懲戒処分を通知したことが賛否両論を呼んでいるのだ。「反戦デモに参加することの何がいけないのか」「日本で反戦を叫ぶことは許されないのか」と学生に心を寄せる意見もある。

私も、学生が反戦デモに「普通に」参加すること自体、何の問題もないと思っている。「普通に」参加しているのに「それがダメだ」と言って、大学が学生を退学処分にしたならば、不当であろう。

参加学生は大学側によると「反戦デモに参加して、無断で愛知大学学生自治会の旗を掲げ、本学公認の活動であるかのような外観を作出」「学長の顔写真に(中略)ビラを掲示して、学長を侮辱、本学を愚弄」したという。

つまり、デモに参加し、無断で「愛知大学学生自治会の旗」を掲げて、学長を侮辱するかのような行為が問題視されたのだ。

「戦争に反対したら退学になるのか」という声もネット上で聞かれたが、反戦デモに参加したこと自体を大学側が問題視しているわけではないのだ。デモにおける元学生たちの行為が問題視されたのである。

しかし、学生側は「ビラは自分たちが撒いたものではない」として、冤罪を主張している。学生側の主張が本当か否かが、今後は1つの争点となるであろう。そして、デモにおいて「無断で愛知大学学生自治会の旗を掲げ」たことが退学処分を喰らうことか否かということも、論点の1つであろう。

ちなみに、学生自治会側と大学は「学生会館の管理運営権」などを巡っても、争っているという。愛知大学は「大学構内の施設の使用に関する規定」を制定・施行し、会議や集会を開催したり、宣伝や勧誘などの目的で施設を使用する場合は、大学の許可が必要としているが、学生自治会が「自治活動や表現活動を制約するもの」として、反対したのだ。