倒産シグナルの象徴とも言えるのが社長。
倒産間近の社長にはどのような変化が現れるのでしょうか。「倒産間近になると、社長のあらゆる『見た目』と『言動』が変わる。重要なのは、兆候というよりも前後の変化」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。
今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。
社長のあらゆる「見た目」と「言動」が変わる
倒産間近ともなれば、社長の表情だけではなく、あらゆることに変化が出てきます。
例えば服装。
末期になれば、服装なんて気にしていられません。これまで糊の利いたシャツを着ていた社長の服装は、ヨレっとしてきます。髪型やその他の身だしなみも同じ。見た目って、本当に出るんです。これは服装のだらしなさというよりは、以前との変化です。
これまでオシャレだった社長が、同じ服を着続けたりとかね。もともと同じ服を着るタイプの社長もいますけど、要は変化がポイントです。
ほかにも、飲みつぶれて二日酔いになることなんてなかった社長が、お酒に呑まれて会社にこない。家族を大事にしていた社長が家庭を顧みない言動をする。あるいは毎日のように書いていたブログを更新しなくなる。SNSの投稿もしなくなる。
仮に情報発信したとしても、いまの自分でも少しでも「いいね」がもらえるような過去の栄華に関する投稿だったり……こういう兆候も出てきます。
SNSに関しては、TwitterなどのオープンなSNSよりはFacebookのような比較的クローズなSNSのほうに、深層心理が表れた投稿が出る傾向が強いと言えます。
普段Facebookに近況を投稿していた社長の投稿がだんだん減少し、以前のような投稿が少なくなった、というのは、危険なことを表すサインなのかもしれません。
加えて、この段階にくると温厚な社長でも「キレる」ことが出てきます。当然そうなれば社員やお客にも応援されなくなる。応援されなくなれば……まあ、そうなればここで解説しなくてももう末期だってわかりますよね。
ちなみに、性格が「良すぎる」社長も会社を潰してしまいがちです。自己犠牲、献身性といえば美しいのですが、経営はなんといってもお金。ある程度がめついくらいがちょうどよいのかもしれません。
占いに依存するようになる
パニック時や混乱期は、様々なことに手を出そうとする傾向があります。私は占いなどの類を100%否定するわけではありません。中には一見占いのように見えても、数百年、数千年計測し続けた統計学をもとにしたものもありますし、実際にそういった学問によって業績を伸ばしている社長は存在しますし、そういう社長に会ったこともあります。
しかし、この末期間近の混乱期に新しくそういったものに手を出すのはやはり危険な証拠。税理士、コンサルタント依存の行く末が、この「よくわからないもの」頼りなのかもしれません。
同じく、否定するわけではなく適切に使えば価値のあるものだとは思いますが、そういった類のことを言わなかった社長が、「宇宙法則」「引き寄せ」「シンクロニシティ」など のワードを口にし始めたり、あるいは同じく突然「靴を磨くと運気が上がる」「感謝の気持ちを1日1000回唱えると成功する」とか言い出したら、やっぱりちょっともう終わりが見えてきている感じがしちゃいますよね。
「近々大金が手に入る」は死亡フラグ
まあ、実際にこのドラマや映画のような「近々、大金が手に入るんだ……ニヤリ」みたいなセリフを言うような社長はいないと思いますが、近い趣旨のことを言う人もいます。
ひとつは個人の金策。
例えば、社長が同じ経営者仲間にお金を無心するようになったら末期です。同じ社長ですから、当然負けてられないというプライドがあります。そういった「ライバル」でもある経営者仲間にお金を借りだしたらほぼアウトと言えるでしょう。
そのほか、大金系でいえば、まずは「借りる」ということになります。これも借り先がヤバくなれば、当然危険度も上がります。あとは投資系の話。「◯◯が値上がりする」とか特に海外のよくわからん投資話で「お金が入る」は危険なシグナルだといっていいでしょう。
よく考えれば、大金を手に入れられる術を持っているのであれば、最初からそれをやればいいわけです。窮地になって、いままでとは別の方法で「お金が入る」ってやっぱりちょっとおかしいですよね。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年9月27日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。