なぜ日本語は外国の人にとって難しいのか?を日本人は何も知らない

谷本 真由美

Hanasaki/iStock

日本では日本語が難しいということが話題になることが多いですね。

しかし通常は、

  • 敬語があるから
  • 発音が難しい
  • 漢字が難しい

という話に収束することが多いようです。

私は外国人の友人や同級生が多いため、日本語の難しさは聞いていましたが、自分がイギリス人の夫や日英ハーフの子供に日本語を教え始めて、そのもっと根源的な理由を実感するようになりました。これは私の最新書籍である「世界のニュースを日本人は何も知らない4 – 前代未聞の事態に揺らぐ価値観」でも指摘しています。

日本語が外国の人にスーパー難しい理由。それは敬語とか文法の以前に、「語彙」なんですよ。要するに「単語」です。

特に欧州系言語とは本当に何のつながりもないものだらけ! だから一個一個全部覚えなければなりません。

例えば欧州系の言語がわかるなら「テレフォン」。「テレ〜」なんちゃらという単語なら「あー電話とか通信とか移動とか?」とわかります。

日本語だと、

『DENWA』

「DENってなに??? デーン人とは関係ない?? はあ?? WA?? 意味わかんね!!」

となっちゃうのですよ。。。

これがどれだけ大変なことか、例えば日本人が日本語とかなりかけ離れていて、普段触れることが全くない言語を学ぶとよくわかります。

例えば、以下のような感じです。

【インドネシア語】

「ぷらぱはるがいに?」(これはいくらですか?)

【ツワナ語(ボツワナの言葉)】

「うえーなおまん?」(あんた誰?)

【リンガラ語(コンゴの言葉)】

「ぼりんびしぼこきこばんでら?」(もう一回言って下さい)

さらにですね。日本語がなにが難しいか?

単語とか助詞とか動詞が会話だと全部繋がって聞こえるんですね。外国人には。

しかもモゴモゴ話す人が多いので音がはっきりしない! 日本人は感覚で理解してるんだけど、外国人には超難しいんですよ。。。。

例えば日本語の簡単なフレーズは外国人にはこんなふうに聞こえます。

「neeneekyoooonogohannnanisuru? Hiyashichuuuuukaaa?」(ねぇねぇ今日のご飯何にする?冷やし中華?)

アルファベットであらわすと本当に暗号みたいですよね。

日本人はこんなフレーズを、実は割と高速で話しています。声も小さく口もあまり開けないので、外国人はなれないと聞き取りがかなり大変です。

語彙もわからない、話し方もモゴモゴ、高速で繰り出される文章。これは苦労しますよ。

さらにこれは日本人が本当に気がついてない、日本語の難しさの文化人類学的な側面。

日本人は会話も文章も色々省いてるんですよ。以心伝心だからです。日本人だとニュアンスとか雰囲気でわかるので、主語や動詞、助詞などをどんどん省いても意味がわかります。

コレ実は、日本語が意外と便利な理由なんですけども、外国人からすると本当にわからない。

「温かいお茶をコップに一杯下さい」

じゃなくて、

「おちゃにする〜」
「おちゃ」
「おちゃがいい」
「ちゃ」
「おちゃでいいんじゃない?」

です。

難解です。

日本語初歩の人だと

「ochanisuru」(お茶にする)

「『SURU』は確か『DO』だから、『やります』『なる』ということ。『お茶』は『TEA』。しかし『BE TEA』とはどういうことか???」

「『いい』はたしか『GOOD』。『お茶』は『TEA』。彼女は『TEA IS GOOD』といっている。だから何なのか?求めているアクションは何か?なにが伝えたいのか。私に感想を求めているのか?それともなにか他の意味か?」

と混乱します。

うちの家人は大学の研究者で博士号が2つあります。子供は熱心に勉強する方。それでも日本語は大変です。欧州言語と全く共通点がない。すべて一からやらねばならないのです。

これを毎日仕事をしていて、言語体系が全く異なり、中卒や小卒の外国人ができるかといったら無理なんですよ。

日本も入国管理法を改定したので、非熟練労働者の外国人も日本で就労許可を取るのが実に楽になりました。はっきりいって先進国で最も簡単なのではないでしょうか?

日本政府もNHK国際放送で外国人労働者向けの日本語講座を無料で放送したりしていますが、外国人労働者の日本語運用には、簡素化した日本語を普及させるなど、もっと工夫が必要なように思います。