財務省が発表している日本の財政状況のグラフ(図表)を見ていると、日本政府はもはや財政赤字を増税や歳出削減によって解決しようという意思がまったくないことがわかります。
コロナ禍で財政支出は更に拡大し、税収の伸びを大きく上回っていますい。累積の債務残高は1200兆円を超えています。国債の金利が1%上がると、年間の金利負担は12兆円増えるという状況です。
日銀の金融緩和政策による国内の低金利の中、政府の財政支出は規律が緩み、目先の人気取りのためのムダ遣いが多いように見えます。
財政赤字がこのまま拡大を続ければ、金利の上昇に脆弱な状況がより強まります。
いずれ財政赤字問題を原因とする通貨価値の下落からのインフレという重大な事態になると予想しています。そこで、自分の資産運用でインフレに対応できる「国と同じポジション」をずっと取り続け、不測の事態に備えています。
このような危機的な状況にも関わらず日本政府の政策を見ていると10年後20年後のことはどうでもよく、取り敢えず今が良ければ良いというその場しのぎにしか見えません。
その理由は、日本の政治を動かしているほとんどの人が60歳を超えるようなシニアだからではないでしょうか。
岸田首相も66歳、閣僚の平均年齢も60代です。そして、選挙に行く有権者の比率も年齢と共に高くなる傾向があります。年代別の投票率を見ると60代が70%なのに対し、20代は30%台に過ぎません。
つまり、日本という国は年寄りたちによって牛耳られている状態なのです。まさに「シルバー民主主義」です。
多くの高齢者にとって、20年後、30年後の日本のなどどうでも良く、自分が生きている間に自分さえよければ良い。そんなエゴイズムしかありません。逃げ切りしか考えていないのです。
かわいそうなのは、逃げ切ることができない若者たちです。将来のビジョンもないまま、税金の無駄遣いをされ、そのツケを払わされることになるからです。
日本の衰退から逃げ切れるシニアの日本人、逃げ切れないジュニアの日本人。
これから、この世代間の利害対立がより明確になって、若年層の不満が高まることでしょう。
議会制民主主義という一見平等に見える仕組みが、格差を生み出す元凶になっている不条理な状態。
解決の方法は私には思いつきません。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年10月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。