「過食」が習慣化するヤバさ

黒坂岳央です。

世の中にある悪習慣の中でトップクラスに健康を害するものがある。それは「過食」である。

タバコやお酒は最初から近づかなければいいし、運動不足は一駅分離れた場所で定期券を買えば毎日ウォーキングで解消が可能だ。睡眠不足もスマホを遠ざけるだけで、今より一時間睡眠時間を増やせる人は少なくない。

だが過食を卒業することは至難の業である。そしてその害は過食が当たり前になっている最中に気づくことは難しい。自分自身は医療の専門家ではないが、食に携わるビジネスをしている立場ということと、食に関する文献は熱心に読み漁ってきた個人研究者である。また一時期は過食の毒にやられていた体験もしているので啓蒙として筆を執りたい。

Doucefleur/iStock

数多くある過食の害

まずは過食が及ぼす害について取り上げたい。ざっと次のようなものがあげられる。

・体格が悪くなる
・体臭、口臭の原因
・生活習慣病の原因
・頭の働きが悪くなる
・居眠り(もとい気絶に近い)
・内蔵疲労で睡眠時間が伸びる
・消化活動で睡眠の質も下がる

逆に過食がメリットになる点としては、脳が気持ちいいということくらいだ。内蔵には途方もないダメージを受けている。特に生活習慣病は撃退するべきだ。歯周病、糖尿病になれば人生を楽しむどころではなくなるほど甚大なダメージとなる。

難しいのは若い頃は問題が顕在化しないことだ。代謝が活発なので多少行き過ぎた過食があっても問題にならない。だが、誰しも年齢を重ねて30代後半、40代以降になるとそれまでの過食が利息をつけて返ってくる。途中から過食が顕在化する環境変化の認識が遅れがちだ。

おすすめは30代なかばを超えたら、毎日体重計に乗る習慣をつけることである。体重増加は過食における早期のシグナルとして機能してくれる。若い頃と比較して体重増加があるなら、そこから目を背けてはいけない。卒業するための具体的なステップを踏む必要があるだろう。

数多くある過食の害

過食の害を理解したところで、なぜ辞めづらいか?の理由を取り上げたい。

まず過食は気持ちいい。とりわけ砂糖や脂質を多く含むジャンクフードを食べると、脳から大量のドーパミンやセロトニンが放出され、端的に言うと気持ちいいのだ。仕事で困難を乗り切る。自分の作品を高く評価される。こうした活動でもドーパミンは放出される。こちらは問題ない。目標を定め、努力をして成果を出したというプロセスは、極めて健全であり努力の結果も資産化する。だが、過食の気持ちよさはあまりにもインスタントに手に入ってしまう上に、多くの場合は不健康を呼び込む。

特にストレスを多く抱える仕事をしている人は過食になりがちだ。仕事のストレスを過食でドーパミンを出すことでオフセットしようと無意識に脳が司令を出すからである。筆者はサラリーマン時代に残業続きだった頃、一気に5kg以上太ったが、その時はストレスを過食で解消していたのだと今ならわかる。

過食という悪習慣を断ち切るのは難しいのだ。

過食のやめ方

ここからは自身の成功体験を踏まえつつ、過食のやめ方を取り上げたい。

まずは体重コントロールである。理想体重から3kg、5kgと乖離していったらその時点で都度食事制限をする。といってもタンパク質やビタミン、ミネラルなどの摂取制限は健康を著しく害する上、空腹に耐えられない持続性もないので戦略として間違っている。やるべきはお菓子やジャンクフードなど、食べなくても良い嗜好品を控える。これだけでも体重増加は止められる。

次はストレスコントロールである。だが、フリーランスや一人社長ならいざしらず、サラリーマンは仕事の調整がやりづらいから簡単ではない。どうすればいいか?結論としては、食事以外のストレス解消法を持っておくのだ。お金をかけて趣味を充実させるとか、気の合う人と会って話を聞いてもらうなどだ。食事とは別の活動でドーパミンを出してストレスとオフセットすればいい。筆者の場合は8時間とか10時間とかとにかくたくさん寝るようにしている。

最後に知識をつけることだ。おすすめは実年齢+10年、+20年先を対象とした健康系の書籍や動画を学ぶのだ。そうすると「今の生活を改めないと、10年後、20年後はこんな病気に苦しむのか」と背筋が伸びる思いになるだろう。筆者は20代の頃から、40代、50代の健康事情を勉強してきたので健康を害する過食は控えられた。40歳を超えた現在は70代、80代の健康事情を学んでいるところである。

過食はそのまま続けると恐ろしい病苦が待っている。どれだけお金や時間、人生を楽しむ意欲や体力があっても不健康になったらすべてが台無しになる。人生で最も大事な資産は「健康」だ。過食を撃退し、健康を手に入れるには意識的に努力する必要があるのである。

 

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