孫正義氏も推薦!仕事を変えるChatGPT活用法

黒坂岳央です。

10月4日のSoftbank World基調講演で登壇した孫正義氏はAIの重要性について「AGIを活用できなければ人間対サルくらいの格差がついてしまう」と力強く説いた。同氏は役員よりChatGPTとディスカッションをするほうが安く使えると意外な活用法を紹介してくれた。

鳴り物入りで登場したChatGPT、あまりにも話題になっているので軽く触って見たものの「意外と大したことはない」とすぐに飽きてしまう人がいる一方で、これ抜きで仕事が何も進まないほど依存する人もいる。

筆者は登場してずっと使い続けている。あまりテクニカルすぎるものはさておき、今回は誰にでも使える活用法だけを取り上げたい。

SoftBank World 2023でAGI=Artificial General Intelligenceを熱心に説く孫正義氏
ソフトバンクHPより

1. 文章の添削とチェック

1つ目は文章の添削や内容のチェックである。とはいっても、ただ誤字脱字を訂正してもらうに留まらない。文章の品質も確認してもらうのだ。

ちなみに誤字脱字を依頼すると、気づかない内に元々正しく書かれているものを間違ったものに訂正されてしまうこともある。だから「誤字脱字して」ではなく「誤字脱字箇所があれば教えて」とお願いするのだ。指摘箇所をリストアップしてくれるので、後はそれをチェックして必要があれば直せばいい。

その他、自分が書いた文章について「論理的な矛盾、わかりにくい箇所、主観的な視点、客観的データの引用、読者の感情を刺激して反感を買ってしまいそうな箇所など改善点を教えてほしい」と依頼すると教えてくれる。さらにその結果に対して「なぜこの箇所は反感を買うと判断したのですか?」など根拠を掘っていくことで新たな知見を得られる。これは仕事で相手のミスを指摘したり、注意を促すなど極めてセンシティブな文章を出す時のチェックにも使える。

筆者は従来、書いた文章のチェックを妻にお願いしていたが、最近ではChatGPTに相談している。「ここの部分はそのままだすとまずいので、こういう言い回しがいいのでは?」と教えてくれるのだ。これは冒頭に述べた孫正義氏のディベート相手や相談役としての活用法に近い。

これは筆者のように文章を書く仕事以外のビジネスマンにも、十分活用できるはずだ。

2. 高度な専門知識の相談

ChatGPTは答えが存在する問題や課題についてはかなり強い。

たとえば「単発の仕事でテレビ番組に専門家として出演して受け取った報酬は源泉徴収対象になりますか?レギュラー出演はしていないケースです」など税金の素人には判断が難しく、深掘りして調べなければ出てこない回答も得ることができる(ただし税金の最終見解は契約している税理士に確認は必須だ)。

また外国語の言葉のニュアンスの解釈についてはChatGPTはめっぽう強い。翻訳ソフトの代わりに活用している人も少なくないはずだ。

ちなみにGPTが真価を発揮するのは、深いニュアンスを読み取る場合である。たとえば英語で「Caesar」は会話の中でどう活用するか?と質問してみる。一般的な辞書ではCaesarはローマ末期の政治家の人物としての紹介に留まるが、ChatGPTではメタファーとしての使用例など、柔軟に応じてくれる。次のようなものだ。

He thinks he’s the Caesar of this office, always giving orders.
(彼は自分がこのオフィスのカエサルだと思って、いつも指示を出しています。)

一般的にこの英文を見ても、ユリウス・カエサルを知らなければこの英文のメタファーの真意を正確に理解することは難しい。だがChatGPTは素人にもわかりやすく解説してくれる。

試してみると次のような回答を得られた。

この文は、そのオフィスで彼がカエサルのようだと考えており、常に指示を出しているという意味です。具体的には、この人物が自分を非常に重要な存在と考え、他の人々に対して指揮を執っているということを示しています。 “Caesar” はローマ帝国の有名な指導者であり、この文の文脈では、彼がオフィス内で権力や影響力を持っていると考えていることを強調しています。

筆者は最近、英語圏でない国のSNS投稿や記事を翻訳ソフトを介して読んでいるが、DeepLでは土着の文化に由来する言い回しが正確に翻訳されておらず理解に苦しむことが多かった。ChatGPTなら中国語でもロシア語でも正確に現地のスラングや本当に言いたかったニュアンスまで教えてくれるので本当に役に立つと感じる。これは従来の外国語辞書にはできなかった機能だ。

3. HTMLやCSSタグ、Excelのマクロ作成

これまでWebサイト制作やExcelのマクロ作成は知識のない門外漢には手を出すのが難しく、一度作成したものを編集する時も元の制作者にアプローチしなければ対応できないことが多かった。しかし、ChatGPTはこのような編集もお手のものである。

「二重線の枠で表を囲って」とか「色をピンクから黄色に変えて」といったお願いも即座に聞いて、タグで返してくれるので後はそれを貼り付けるだけでいい。また、ExcelマクロのVBAコード作成もパッと見プログラミング言語のように見えてしまうことから、本格的に勉強したものでないと不可侵領域になってしまっていた。だが、ChatGPTはやさしい口語での依頼も快く引き受けてくれる。

これまでは技術的に難しい箇所はクラウドソーシングで依頼してきた。筆者はコーディングやマクロの専門家ではなく、イチから勉強して時間をかけてやるより専門家にお金を払って頼んだほうが早かったからだ。会社員でも同じ作業の繰り返しを「こういう時さっと組めれば楽なんだろうな」と思った人もいるだろう。これをChatGPTは一瞬で解決してくれる。

ChatGPTは慣れなければ上手に使いこなすことは難しい。「garbage in, garbage out(愚問愚答)」といって愚かな質問を入れても愚かな答えしか得られないのである。だが、頑張って使い続ければやがて入力するプロンプトも洗練されていき、「自分でやるよりGPTが速い」という臨界点を超えれば一気にGPTを使いこなす日常が始まる。

今回紹介したのは有効な活用法のほんの一部だ。ぜひ今日からでも使えそうなところを盗んで活用していただきたい。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。