今回の臨時国会での議論を先取り:補正予算の中身も先取りできる

 臨時国会とは何か

臨時国会が10月20日に始まりました。臨時国会の会期は12月13日までの55日間です。

臨時国会とは、その名の通り臨時に必要があるときに予算や法律を審議するために開催されます。今回の臨時国会においては、補正予算案と法案のそれぞれが審議の対象となっています。

所信表明演説は23日に行われ、首相はその中で、ライドシェアの解禁や物価高に対応した経済対策などに言及しました。

事前に自民党の若手議員らからなる議員連盟から、20兆円規模と提案されていた補正予算の内容や額に注目が集まっています。

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提出される法案をチェック

臨時国会で議論される法案は、10本程度と報道されています。こどもと関連する仕事に就く人の性犯罪歴を確認し、性犯罪者からこどもを守ることを目的としたいわゆる「日本版DBS」法案は、臨時国会に提出されれば、目玉法案となったと思われますが、与党内の調整が難航したこともあり、見送りとなっています。

そのほかの法案で世間の関心を呼びそうな法案は、大麻取締法の改正法案でしょう。欧米でもてんかんなどに対する効能が認められ、利用されている大麻由来医薬品の研究開発促進などを意図した法案です。成立すれば、今後大麻から抽出した成分であるCBDを活用した医薬品の流通や健康食品・サプリメントの市場拡大が見込まれるでしょう。日本国内での大麻草の栽培規制も合理的なものになることが想定されています。

元々は2023年の通常国会に提出されることが想定されていた法案ですが、他の法案の提出が優先され、臨時国会にずれ込みました。このように臨時国会で提出される法案は、緊急度の高い法案のほか、通常国会に提出できなかった法案についても議論されることがあります。

目玉は補正予算:補正予算のスケジュールと意義

今回の臨時国会の目玉は、補正予算でしょう。

補正予算とは、会計年度途中に、緊急に必要となった場合などに追加の支出をするための予算をいいます。

2020年は過去に例を見ない新型コロナウイルス感染症対応として、2022年は物価高などへの対応としてそれぞれ、3回、2回と補正予算が作られていますが、2023年度においては、今回の補正予算が初めてです。

補正予算は当初予算と違い、決まったタイミングで作られるものではないので、年によっては作られない場合もありますが、近年は毎年のように補正予算が作成されています。民間の皆さんは、毎年度補正予算が出されることを前提に準備を進めておくことが必要になってきています。

例年8月末に各省庁のHPで概算の予算案が公表され、年度末までに国会で可決成立する当初予算と異なり、補正予算はそのスケジュールがタイトです。今回のケースで言うと、岸田総理が補正予算を臨時国会に提出することを対外的に発信したのは、9月29日です。数週間というかなり短い期間で予算の中身が考えられていることがわかると思います。

知らないうちに補正予算が成立して、執行が始まってしまった、ということにならないよう、補正予算に何が入りそうか、前もって確認しておくとよいでしょう。今回は、補正予算の編成が行われることをキャッチしたあと、どんな要素が補正予算に入りそうかを最小限の労力で知る4つの方法をお伝えします。

(この続きはこちらのnoteから)

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。