恐らくこの記者は防衛産業の取材経験がなく、単に川重の担当なのではないでしょうか。そんな記事です。
――政府は防衛関連企業の利益率を従来の数パーセントから最大15%にしようとしています。どう見ますか。
当社はP1哨戒機やC2輸送機などを製造し、潜水艦なども手がけている。これまで受注が毎年あるわけではなく、設備や人手を維持しにくい点などが課題だった。そのため民需にシフトする動きがあり、防衛事業から撤退する企業も出てきた。現状の利益率5〜6%では事業継続が難しいことは確かだ。
新たな利益率15%という数字は、条件を満たせば達成できるものだ。当社の全ての防衛関連事業が該当するわけではない。防衛各社はそれぞれ得意な分野に力を入れており、利益率が良いから手がけるという発想はあまりない。
そら、濡れ手に粟ですから嬉しいでしょう。財務の担当者とすれば両手を上げて大歓迎でしょう。
ですが、他の大手も含めて当事者意識が感じらません。特に川重は各事業部ごとの独立性が強く、三菱重工がデパートならば、ショッピングモールに近い。
防衛といえばオートバイなどは世界の軍隊に輸出している「業界大手」なのですが、他の造船や航空機ではそういう意識がありません。海外輸出するつもりも、国内の事業統合をするつもりもない。
潜水艦は三菱重工と二社体制です。そこには競合はありません。ヘリはスバル、三菱重工と3社体制ですが、これらを事業統合して生産性を高めて、事業としての維持発展など考えていません。ヘリは自衛隊以外は昔のジョイントベンチャーのBK117ぐらいで、将来に自衛隊以外の市場を果敢に目指すという意図もありません。
P-1やC-2の海外輸出などできないことはわかり切っているのに、防衛省に顔色をみて海外の見本市に出展しているのはヤルヤル詐欺です。空自向けのあれで高いC-2ですら、儲からずにやめたいとこぼしているそうです。競合機の数倍の調達コスト、5〜7倍以上の維持費で延々と税金を食いつぶしているだけです。
まるで40〜50代にもなって自室に引きこもって、親のすねをかじっている「子供部屋おじさん」です。
――今後の防衛関連需要を、どう見通していますか。
需要が増えることは確かだが、仕事が確定しない段階から人手を増やすことはない。それでも当社は(無人機など)無人アセット防衛能力や電子戦の司令塔などで貢献できると考えており、需要が増えるならば人材や研究開発費はもちろん増やす。
事業統合する気がないなら防衛産業から撤退すべきです。また同社の無人機では一部中国製のソフトウェアを使っていると聞いています。本気でやる気があるのでしょうか。更に申し上げれば、今の自衛隊や警察の周波数帯で無人機を作ってもまともに飛びません。では周波数帯を変えるロビー活動でもやっているのかといえばやっていないでしょう。
本気でやるならば国内を飛び越して海外市場を狙うべきですが、そのような野心もありません。「子供部屋おじさん防衛産業」としてひたすら税金を食おうとしているだけです。
――航空宇宙システム全体でみて、23年4〜6月期は売上構成変動などが28億円の事業利益貢献をしています。
この部門には航空機の機体とジェットエンジンの事業があり、旅客需要の回復に伴って機体やエンジンの生産が増えている。売り上げ構成も変動し、利益に最も貢献しているのは英ロールス・ロイスや米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)などへのエンジン部品販売だ。
これらの事業にしても国際競争力を高めるのであれば、IHIや三菱重工と事業統合すべきです。
川重はP-1後継機にも意欲を燃やしていますが、市場で戦ったことがない「子供部屋おじさん航空機メーカー」ですから、P-1同様に競合他社の数倍以上の競争力がなく、稼働率も低い欠陥品をつくって、税金を浪費するだけに終わるのは見えているのでぜひやめてほしいものです。しかも将来的には無人機の台頭で調達機数も大幅に減るでしょう。
P-1もC-2も手間だけかかって儲からないから本音でやめたいはずです。ですが仕事と名が付けば犬の糞まで拾ってきて食いたがるが日本の防衛産業です。
儲からないならば、海空自衛隊の電子戦機など自社以外の民間機体を提案すべきだった。例えば737やA320とかを使えばよかった。その分負担は減るし、利益率も上がったでしょう。納税者もより安くて信頼性の高いものを買えたはずです。
そいういう当事者意識も企業マインドもなく、糞を食うのが川崎重工です。
出来の悪い防衛産業を食わせるために税金を使うのはやめてほしいものです。
【本日の市ヶ谷の噂】
P-1の近代化は、事実上不具合の改善の為といわれているが、P-1の稼働率は未だに低く、クリティカルな状態で現場は困惑との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。