成功しても謙虚さを維持する6つの方法

黒坂岳央です。

ある程度、社会的、経済的成功を得るとどんな人でも変化する。すわなち傲慢で上から目線な人と、謙虚で愛される人格者である。自分の知るビジネスマンはほぼこの2つにカテゴライズできる。目指すべきは当然後者なわけだが、なぜ彼らはいつまでも謙虚、素直に間違いを認めて愛される人格を維持できるのか?

自分自身は他人から見て大成功者などではないが、昔と比べればかなり遠くに来られたと思っているし、他者から見て矮小な存在でも自分が望むものは一通り手にしたのでとりあえずの「自己満足感」は得られたと考えている。手前味噌でおこがましいが、謙虚さや素直さは昔と変わらず維持できていると思っている。僭越ながら独断と偏見で自分なりのエッセンスを共有したい。

結論、それには複合的な哲学によるものと考えることができる。1つずつ解説したい。

Urbanscape/iStock

上には上がいる

まずは「上には上がいる」という当たり前の事実を認識することである。向上意欲を持ってチャレンジを続けていけば、自ずと視点は下ではなく上に向く。当然だが、どんな世界でも上がいる。否、世界トップに登りつめた人物でも「後世世代に抜かれる覚悟」を持って日々努力を続けていたりする。

こうした思考から「自分はすごい。周囲はみんな自分より下」などとは考えない。そのように慢心して手を抜いた時から凋落や精神的腐敗が始まるからである。成功者の息の根を止めるのは競合他者ではなく、常に己の慢心である。防止策は上には上がいるという当たり前の事実から目を背けないことだ。

愛される人格を理解する

「自分はすごい、周囲はダメ」という上から目線で傲慢な思考は、知らず知らずの内に言葉や態度になって出てしまう。人は相手から見下されることにはとても敏感に感じ取る回路を有するので、これをすると敵を作る。ムダに敵を作るとそれはチャレンジを阻む障害になる。

さらに人間は社会的な動物であるため、誰でも嫌われるより愛される方がいいに決まっている。我が国において愛される人物像とは、常に謙虚で向上心のあるポジティブな人格で異論はないはずだ。

失うのは一瞬と知る

社会的な信用や資産とは、1つ1つ小さな石を積み上げるような作業の上に成り立っている。だが恐ろしいことにビジネスにおいて最も価値の高い資産である「信用」は失う時は正しく一瞬である。

日頃から絶え間ぬ努力で自己研鑽を怠らず、社会的に有意義な活動をしていてもムカッときて人をバカにする言葉を出すと、その瞬間選手生命は終わる。ある中国人インフルエンサーが一言で大炎上したことを取り上げた過去記事でも解説したとおりである。

常に謙虚、素直でいなければ愚かな歩を踏み出し続けてしまう。運やタイミングが悪ければそのまま転落する。分の悪い愚かなかけをしてはいけない。

すべてが学びの対象

言語化能力やビジネス力が高まるとある現象が起きる。それは物事の解像度が高まるのだ。

人によって同じ経験や見たり聞いたりしても、見え方、感じ方は全く違う。優秀になればなるほどより視野が広く、そしてより深く見えるようになっていく。向上意欲を持ち、すべての経験、すべての相手を学びの対象にしたいという思考が相手へのリスペクトの精神を伴う振る舞いに現れるのだ。

お金は引換券にすぎない

大金を得ると人は傲慢になり、視界の解像度を曇らせる。それまでは1つ1つの価値を厳しく見極め、どれが必要で不要なのかを分別していたのがお金を粗く適当に使い始める人も出てくる。そしてときにその散財をエンタメやゴシップに変え、結果として傲慢な人格を形成する。

だがお金はしょせん引換券に過ぎない。確かにお金でできることは少なくないし、苦痛の要素を取り除けるだけでも大きな価値がある。お金ができる効力を正確に理解するべきだし、感謝の気持ちを忘れるべきではないだろう。しかし、お金が価値を帯びるのは価値交換して「活用した時」だけである。

手元にたくさんの引換券があるだけで傲慢になってしまうのは、資本主義社会での勝者ではあっても人格としては矮小に過ぎない。死ぬときに最も手元に引換券を抱えて交換できないまま別世へ旅立つ姿を「羨ましい」と思う人は多くはないだろう。お金は「どう増やすか?」より「どう使うか?」にこそその人の真の哲学が宿るのだ。

感謝を忘れない

人間は苦しい時に救われると感謝するが、その時期をすぎると相手の善意を煩わしく感じるという致命的なバグがある。なぜならこの欠陥が再び苦しい局面をもたらす原因となるため、そのままではいつまでも次の次元へ進めないからである。

うまくいっている時にも、周囲に常に感謝し今の自分の成功は決して100%自助努力だけでなし得たわけではない、という理解が謙虚な姿勢を作ってくれるだろう。

以上駆け足気味に列挙してみた。細かいことをあげればきりがないが、概ね上記のとおりだ。理想論に聞こえるかもしれないが、人格というのは複合的に作用しあうことで機能するものなのでどれか1つだけを得て謙虚になれるわけではないのである。

 

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