少子高齢化対策のアラカルト:斜陽・無理ゲーから抜け出すには

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先ずバケツの穴を塞げ

岸田総理は、政権維持とやがて迎える総選挙を意識し、増税メガネのニックネームを払拭するため減税策を打ち出したが、所詮財務省の指人形に過ぎず、倍返しで大増税が待っている事を世論に見透かされ、支持率低迷に拍車を掛けた。

物価対策なら消費税減税こそ打ち出すべきで、スーパーのレジ等が既に複数税率に対応している事を考えれば法案通過後最長でも1ヶ月もあれば対応可能で、「買い控え懸念」等の言い訳は通用しない。「消費税は社会保険の財源」という建前も、他の用途にも充てられているため説得力はない。

税の話は、先ず支出の方の切り詰めから始めるべきである。バイデン大統領から「フミオここは頼んだ」というやり取りも在ったのかは知らぬが、海外への花咲爺のようなバラマキ、中国人等の留学生や所謂Fラン大学等への助成、外国人への生活保護支出等がマスコミのスルーの下に行われ、また趣旨が曖昧な「男女共同参画事業」予算は、福祉的支出も含み省庁横断の多様な予算額とは言え、ここ数年8~10兆円程度を計上しており、一度徹底的にメスを入れる必要があるだろう。

こうしたバケツの穴を塞ぐのが、第一に行うべき事である。だが、自公政権に加え左翼政党、マスメディアも巨大宗教団体含めた既得権関係者に絡め取られ、これらの問題がアンタッチャブルになっているのが今の日本のザマである。

以上が、我が国の財政問題の半分を占めている。だが残りの半分は、やはり喧伝されている通り少子高齢化が最大の問題であるのは間違いないだろう。これに対応するために消費税と社会保険料を永遠に上げ続けるなら、何れ日本は詰んでしまう。再び欧州の病人になりつつあるドイツにもGDPで抜かれ、斜陽化し悪循環に陥った諸問題を抱えた我が国が持続不能な無理ゲーから抜け出すには、この問題に現実的な解が求められる。

少子高齢化は、地続きであるとは言え、「少子」と「高齢化」に分けられる。その対策として可能性も含め考えられるのは、概ね下記の事項である。

少子化対策

  • 結婚・出産へのインセンティブ
  • 外国人労働者・移民の促進
  • ロボット化・IT化・AI化
  • (番外編) バイオテクノロジー・人工子宮での出生(赤ちゃん工場)

少子化対策として、結婚・出産へのインセンティブは、現岸田政権も「異次元の少子化対策」を打ち出しているが、なかなか実効性は厳しいだろう。

外国人労働者・移民の促進は、今の産業界の要望だけに沿った場当たり的な制度や、法改正後も続く訳の分からない利権に塗れた不法移民の拡大のような済し崩しを続けるべきではなく、もし入れるなら、ちゃんと入れる事、徐々に入れる事、労働、納税、帰国or定着・家族化、老後の社会保障受益等でのタイムラインで日本としてペイする仕組みの設計が必要である。

ロボット化・IT化・AI化は、もしロボットの反乱やAIの暴走を防げれば、最も社会的コストが少なく有望と言える。

バイオテクノロジー・人工子宮での出生(赤ちゃん工場)は、飛び道具としては、人口増の直接的な方法である。技術的には近い将来十分可能で、某国では既に人間で実験を始めている可能性も否定できない。またキャリアを中断したくないハリウッド女優等が、「借り腹は倫理的ではない」と宣言し、オーダーメードで始めるかも知れない。だが、マスで行う場合、出生後にどうやって育て、教育するのか等を考えれば当然に現実的ではない。

高齢化対策

  • 健康寿命の増進
  • 高齢者の労働力化のための制度・テクノロジーでのサポート
  • 延命治療の回避等

高齢化対策として、健康寿命の増進は中心に据えられるべきであろう。現在、中高齢者向けの「メタボ検診」等があるが、日本の医療業界の利権化し現実的な健康状態とは懸け離れているとの批判も多い。もっと現実的、総合的な指標に改編し、健康老人にはインセンティブを与える等の施策も必要だろう。

老齢者の労働力化のための制度・テクノロジーでのサポートも、必要とされる。もし健康であるならば、家事育児サポートの他に、経済、社会奉仕等、何らかのアウトプットをして頂く選択肢の幅を広げておくべきだろう。

延命治療の回避等には、関連して今年初めに炎上した成田悠輔氏の過激な「高齢者は集団自決、集団切腹」論から、植物人間の延命停止までグラディエーションが多数ある。北欧のような「自力で食べ物を摂取出来なくなったら自然死」と言うのは一つの選択肢である。だが、何れにしても、法的、医学的、儀式的な整備が必要であり、尊厳を保つのは必須条件となるだろう。

以上、思い付く事項を挙げたが、既に言い古されておりズバリの特効薬はない。各政党には、来る総選挙に向け諸方策を組み合わせた総合的な少子高齢化対策を掲げて頂きたい。パッケージで提示され、シナリオが見えれば有権者も選択する基準が出来る。

少子高齢化は止められないにせよ、緩和し軟着陸するビジョンが見えれば事態は好転化し、逆に急な少子化にも歯止めが掛かるのではないか。有権者にも、これらについて何らかの総合政策を打ち出せない政党は投票先の選択から外すような、厳しくも当たり前の責任ある対応が求められる。