人生の幸福度は「自分で選択」したかで決まる

黒坂岳央です。

神戸大学が2万人を対象に調査した結果によると、人の幸福度は「学歴や収入」以上に「自分で選択した」という自己決定による影響が大きいという。

この調査結果には強い説得力がある。筆者自身、人生を振り返ってみると親や教師から言われて渋々興味もない選択をした結果はいずれも幸福ではなかったという思い出がある。今となっては学歴などどうでもいいし、所得はある程度に達した後は「もっともっと増やしたい」などとは思わず、どちらかといえば積極的なオフェンスよりインフレや通貨安に対するディフェンスへの比重が大きい。

だが、「自分の人生は自分で選ぶ」ということは確かに、これまで過去の選択はいい時、悪い時も含めて「納得感」があるのだ。

Zbynek Pospisil/iStock

生きづらさの正体は同調圧力

過去記事で書いたことがあるが、自分は世の中の生きづらさの主要因は「同調圧力」から来ていると考えている。そしてこの同調圧力を深掘りすると、そこにあるのは「自分の人生の決定権を奪われている」ということにあるのではないだろうか。

たとえば学校では身なりを校則で強制されることに、強い反発を覚える学生がどこの学校にもいる。友達とLineの返信をしていて、本当は勉強をしたいのに返信が遅れると仲間はずれにされてしまうことが怖くてやり取りを継続する。また、会社では何もやることがないヒマな日でも、仕事をするふりをしなければ残業に付き合わなければいけない。心の中でおかしいと思っても、周囲の顔色を伺って言いたいことがいえない。

このように自分の好きなように行動できない。人生の選択肢を他者や集団に奪われる。生きづらさの正体とは同調圧力に屈した結果なのだ。

自ら縛られていないか?

では生きづらさから開放されるにはどうしたら良いのだろうか?結論、周囲の目や意見を気にせず、自分のやりたいことを自由に選択する、これ以外にないだろう。だが口で言うのは簡単でも、実行するのは並大抵のことではない。おそらくほとんどの人にとっては「理想論」で終わってしまうはずだ。

たとえばサラリーマンが嫌だという人の中には「自分の時間を経営者に買い取られ、仕事の選択権や月収などの生殺与奪を握られている」と自身の不自由さに不満を言う人がいる。でも本来、そのような立場を希望しているのは他の誰でもなく自分自身なのである。自ら志願し、面接を突破し、入社の手続き契約をしているのだ。

仮にその人物にサラリーマンという立場が合わないなら、起業するか専業トレーダーになるという選択肢がある。個人でフリーランスになれば上司も部下も同僚もいない。すべては自分の力だけで粗利を稼ぐことになるので、「同調圧力に由来する生きづらさ」はゼロになるだろう。また、専業トレーダーは相場の奴隷になることを受け入れるなら、今すぐ誰でもなること自体はできる。同調圧力など何もなくなる。

また、人の目を気にして好きでもない相手と好きなふりをして時間を過ごすことに生きづらさを覚えているなら、相手から嫌われてもその場を抜け出すという選択肢だってある。会社や保護者同士のコミュニティでは簡単ではないかもしれない。だが、本質的な意味で他人や社会に完全に縛られている人などそう多くないはずだ。多くの場合、人は自らの意志で自ら縛られにいっていると感じることは少なくない。

人生を自分で選ぶ「責任の重さ」

だが自分で決めることには責任が伴う。筆者は23歳まで工業高校を出てニートとフリーターをしていたが、独学で勉強してその後は米国大学留学を経て東京で働いた。また、脱サラして起業したがこのプロセスにも毎日ジェットコースターのように想像を超えるようなトラブルや問題が降りかかりながら今日まで過ごした。

自分は人生のほとんどを自ら選択してきたという感覚があるが、そのプロセスにおいては普通の人が通る必要のないような強い苦痛や大きな苦労を伴った。人生を自分で選ぶ「責任の重さ」自分で人生を選ぶということには、相応の責任が伴う。子供なら親の庇護の元であたたかい環境で育成される立場だが、成人すればそんなものはなく、いい結果も悪い結果も含めてすべてを自分自身の身で受けることになる。

人生の自己決定は生きづらさからの開放がある。同時に選択の責任の重さも伴うのだ。

人生はいつ終わるか?それは誰にもわからない。大事なのは時間の長さではなく、質の高さだろう。自己決定は決して社会的な成功を約束することはないが、人生の納得感は間違いなく与えてくれる。良くも悪くも、世の中はシビアである。思ったようにいかなければ苦しむことだってあるし、過去の自分の選択を反省することもある。だが、良くも悪くも責任は全部自分、これほど人生を真剣に生きる覚悟をもたせ、そして心からの納得の行く生き方は他にないだろう。

 

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