林真理子氏主演ノンフィクション劇場「座らなきゃよかった理事長の席」

イスラエルとハマスの戦闘が再開されました。1週間の休戦期間中双方良いムードで人質解放は喜びをもたらしました。アメリカのスタンスが微妙で休戦させたいのか、ハマスせん滅を支援したいのかはっきりせず、バイデン氏の評価がどんどん下がるというのが私が感じるところです。仮にイスラエルが力づくで所定の目標を達成すれば終わり無き戦いの引き金を引く気がします。どこかで手打ちをした方がよいと思います。

では今週のつぶやきをお送りします。

非上場を目指す日本企業

先週、このブログで東京市場は日経平均34000円を突破すると申し上げましたが、市場は驚くほどの膠着感で狭いレンジの動きとなりました。週間の日経平均の勝率は1勝4敗となりましたが、雰囲気的にはエネルギーを蓄えているように感じますし、チャート的にもしっかりしています。北米が最高値を付け、値動きが軽くなっているので為替はマイナス要因ですが、いずれ超えてくるでしょう。

そんな中、ブルームバーグのコラムニストが一部の日本企業は上場に嫌気がさしているという記事を書いています。大正製薬、ベネッセ、シダックス、あえて言うなら東芝もそう。ツルハも非上場を引き続き目指している模様です。記事には「東京には上場する必要のない上場企業が多過ぎる」「東証に上場している約4000社のうち3分の2はアナリストのカバレッジがゼロ」「日本のスタートアップは上場が早過ぎるため、成長性よりも収益性を重視せざるを得ない」「低金利のため、希薄化する株式の発行より負債の方が魅力的な選択肢となり上場し続けるメリットはほとんどない」…。辛辣です。

私は中学2年生から株式投資をし続けていますが、上場のメリットって何だろう、と思うことがあります。教科書の話と実態は違うのだろうなぁと。銀行から借りずに市場から無償の資本を投じてもらい、儲かったら配当でお裾分け。以前から指摘していますが、IPOする企業の多くはある特定の商品やサービスが当たり、成長の上昇気流第一波に乗った会社です。が、企業経営は常に波乗り、新規アイディアを打ち出し続け、パイ生地のように積み上げることなのですが、ワンイシューならぬワンプロダクトで終わっている無残な上場企業が山のようにあるのは非常に残念なことでこれが個人投資家をがっかりさせた理由の一つでしょう。

林真理子氏主演ノンフィクション劇場「座らなきゃよかった理事長の席」

ここまでくるとあきれるのを通り過ぎて笑いすら出てきます。澤田副学長の一人芝居とそれを擁護する人たちです。思うに澤田氏は日大のヒーロー気取りだったのでしょう。逮捕された学生が公判で「副学長がもみ消すと思い、安心した」と述べ「監督からは『沢田副学長に見つかってよかったな』と言われたとも説明。被告はその後、監督に大麻を使用したことがあると打ち明けた」(産経)とあります。これ、澤田氏も監督も犯人蔵匿罪ではないでしょうか?また、その学生は更に「10人ぐらいやっていたと思う」と述べています。林氏も貧乏くじを引いたものです。

ちなみにこの学生、大学に入る前から大麻をやっていた常習犯であることが分かっています。この学生がスポーツ特待でアメフト部に入ったかどうか知りませんが、大学を学ぶところというよりスポーツなどで人気化させた弊害が浮き彫りにしたと思っています。今回の問題は日大云々というより、日本のほぼすべての大学に於いてスポーツが大学の話題の中心となっていることに違和感を感じるべきだ、ということでしょう。他大学やパブリックが廃部について異論を呈していますが、それは日大が決めること、他人がどうこう言う筋合いではありません。

そういう私の出身校も最近は駅伝より野球の方が強いこともあり、校友に発信されるニュースはスポーツでもちきり。しかし、在学生と話してみると「駅伝?見ないし」「野球、そうなんだ。知らなかった」です。つまりスポーツで盛り上がるのは学校の経営陣であり、「これで来年の入学試験の志願者は増えるぞ。入試料が一人3万円だから儲かるな、副理事長!うっしっし!」という学園理事長は前掛け付けて鉄板焼きステーキに赤ワインを転がしているのでしょうか?

林真理子日本大学理事長 NHKより

COP28とEV

岸田首相が現在開催されているCOP28で「排出対策していない石炭火力発電、新規計画認めず」と発言しました。日本として批判の強かった石炭火力の規制に踏み込むのは初ですが環境省は石炭火力発電をゼロエミッションにすると長年掲げており、民間ベースでもその研究は大きく進んでいると理解しています。そこから類推すれば排出対策をしていない新規の石炭火力発電自体がおかしい話です。岸田氏は欧米になびくとも取られない発言ではなく、何が現実解なのか、欧米をしっかり説得してもらいたかったと思います。

CO2削減というテーマについては数年前に大きく盛り上がり、政治主導で世界各国が削減目標を「お前がそうなら俺はこうだ」と言わんばかりの裏付けなしの言いっ放しでした。日本は菅元首相がそのリード役でした。ところが時間が経つと「あれ?」なのです。つまり、必ずしも計画通りにはできないわけです。最近ではアメリカの自動車業界が今年、大規模なトライキを打って出ましたが、その終結にはEV化の後退を内包させています。つまり、アメリカ自動車大手は打倒テスラで鼻息荒い計画をしていたものの従業員の逆襲にあえなく計画修正を余儀なくさせられたのです。ドイツのVWのEVも中国で売れ行きが悪く、計画の練り直しです。

ここバンクーバーも「馬鹿の一つ覚え」と言いたくなるEV推進をしています。確かにEV車も増えていますが、インフラは余りつつあります。私の経営する駐車場でもチャージする車はかなり少ないのです。一方、日本からは全個体電池、あるいはその幕間つなぎ的な「半固体電池」がどどっと市場に出そうな勢いであり、案外、日本が「漁夫の利」になる可能性もあります。私は脱炭素は当然進めるべきと思いますが、技術の進歩より理念が先行しすぎて政治家が引っ掻き回しすぎたという気がしてなりません。

後記
このところ毎週のようにイベントを主催し、リード役をし続け、今週末はイベントのダブルヘッダー、それが終わったら1週間だけ日本に行き、大学で講義を受け持ちます。私の数々の事業もあるし、よろず相談も受けねばなりません。相当ヘロヘロになっていますが、今年一年、これほどやり切った年もなかったと思っています。残りひと月、ラストスパートで走りぬきます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月2日の記事より転載させていただきました。