患者も見た目が9割。医師は「見た目」で態度を変える?

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Aさんは診察に行きました。部屋は分かれているものの、前の患者さんの声が聞こえます。「最近、頭が痛くて」「体調が悪いんです」と患者さんが言うと、「そうですか、大丈夫ですから。薬を出しておきますから」との返答。どこか冷たい感じがします。

Aさんは、頭が痛くて相談しようと思っていました。ちょうど、前の患者さんが出てきました。よれよれのTシャツに切れているズボンをはいています。「もうちょっときれいにすればいいのに」と思いながら、自分の番が来ました。

医者は患者を身だしなみで判断するのでしょうか?ある医師の著書に次のような記述があったことを思い出しました。

身なりが乱れた患者に、医者は質問をあまりしません。医師が見た目で治療を変えることはあると考えています。見てもらうにも最低限のマナーがあると思いますので、それなりの身なりで行くべきです。

この記述は実態を照射しています。建前で、医師は患者さんを分け隔てなく見てくれることになっていますが、現実にはそうではありません。

おそらく、医師は「自分はそんなことしていない」と主張するでしょう。

しかし、現実には、身なりのきちんとしていない患者さんには、医者は質問の機会を与えないという研究結果も存在します。平たく言えば、「私の言う通りにして、おとなしく治療を受けていればいいんだ」という態度を取ってしまいがちなわけです。

まれに、「病院は病人が行く場所だから、汚くてよれよれの方がつらそうに見られて、優しく診察してもらえる」という人がいますが、これは間違った情報だと思われます。

さらに、その医師は、「夜中の救急にもかかわらず、ばっちり化粧がしてあって、ブランドバッグを持ってきている人は要注意」とも述べていました。

「緊急事態なのに着飾るのは不可解。本当に痛むのだろうか?まったく別のなにか言いづらい事情があるのではないか」と疑うべきだと言うのです。

一般人には分かりにくい医者の行動。しかし、これらの行動は医者の単なる怠慢ではありません。真剣に病気やけがを治そうとする結果、やむを得ずしてしまう行動もあります。

私たちが正しい情報を知る努力も必要だと思われます。