ボリビアのイランとの防衛協定でアルゼンチンとチリが苛立ち

アルゼンチンに麻薬が密輸入されるルートが新たに誕生

今年7月にボリビアがイランと防衛協定を結んだことは一般的には余り注目を集めていない。イランはテロ組織ヒズボラとハマスに武器と資金を提供していることで良く知られている。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの3か国が国境を接する地域はヒズボラの巣窟となっており、資金洗浄や麻薬の密輸などが盛んに行われている。

アルゼンチンと国境を接するボリビアがイランと防衛協定を結んだということアルゼンチンにとって麻薬がボリビアからも密輸入される危険性が高まっている。

アルゼンチンにはユダヤ人が多く在住しており、1994年にはブエノスアイレスにあるイスラエル相互協会(AMIA)建物がテロ爆破の被害を受け85名が死亡するという事件があった。この首班が当時にイランの閣僚の一人だったということは既に公然の事実となっている。即ち、イランの工作がボリビア経由でアルゼンチンに容易に導入される可能性が増えたということになる。

ところが、皮肉にも元大統領で現副大統領でもあるクリスチーナ・フェルナンデス氏はイラン政府がこのテロ事件の背後にいたということを隠蔽するという条件でイランがアルゼンチンからの輸入を促進させるという貿易協定を結ぶという経緯もあった。

そんなことを経験しているアルゼンチンにとって、テロ組織を擁護しているイランがボリビアと防衛協定を結んだことにアルゼンチンはいら立ちを表明している。

イランのラテンアメリカでの影響力は拡大

またチリは、ボリビアが海への出口を求めてチリと紛争中である。そのボリビアがテロと麻薬の密売を擁護しているイランと関係を強化したということで同様に不満を表明している。

ボリビアはエボ・モラレス前大統領の政権中にベネズエラの当時のチャベス大統領に同調して反米主義に徹してロシア、中国、イランなどとの関係を強化した。またエボ・モラレス氏はイランとの関係を強化した以後の2014年からはイスラエル人の入国にはビザ取得を要求した。そして、BRICSへの加盟にも関心を示している。

今年7月のイランとの防衛協定で国境警備の強化としてイランからドローンの提供を受けることになっている。特に国境の警備に使用するのが目的だとされているが、麻薬の密輸が盛んなボリビアで国境の警備にドローンを使うとされているが、それは麻薬の密輸を手助けしようという目的であるかもしれない?

今回のボリビアとの防衛協定でイランはラテンアメリカにおいてニカラグア、キューバ、ベネズエラそしてブラジルと南米において着実に勢力を拡大している。