思い込みがいかに間違っているかの実例を挙げる

永江 一石

人は現実と違うことを思い込んで語りがち

いままでの何度も取り上げてきたのですが、「高齢者が運転する車は事故を起こすのか」ということですが・・・

テレビはエアコンの温度を上げる4倍も電気を使っている アゴラ

テレビはエアコンの温度を上げる4倍も電気を使っている
データをみないで早とちりするなかれの3例 めったにテレビは見ないのですが、ご飯食べてる時にちょこっと見たりします。テレビがどんだけ適当なことばかり言ってるかはコロナではっきりしました。いまだにトンデモの学者とか医者になんのチェックもせずに...

ChatGPT画伯による、暴走する高齢者ドライバー

データを見てみましょう。最新の令和4年


高齢者より若年層の方が遥かに事故を起こす

ということが分かると思います。最も危ないのは免許取り立て。特に16歳で取得する原チャリはヤバい。高齢者ももちろん事故を起こすわけですが、それよりずっと確率が高い。しかしテレビでは連日のように「また高齢ドライバーが」という報道をしてますよね。理由は2つあって

・そもそも高齢化で高齢ドライバーが爆増している
・高齢ドライバーが事故ると死亡事故になりやすい

ということがあります。なあんだって感じ。確かに高齢者の事故は増えているがそれは高齢者が増えたからなのでありました。

初婚年齢は上がっていない

少子化の要因としてはたくさんあるがそのひとつに「女性が大学に行くようになって結婚する年齢があがったから」と言われることがよくあります。わたしもそう思ってました。ところがです・・・・
初婚のピーク、今も昔も「27歳」 晩婚化は本当?くらしの数字考

厚生労働省の人口動態調査によると、2022年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.7歳と男女とも30歳前後。一方、初婚のピークは男女ともに27歳に訪れる。02年も女性は26歳とほぼ変わらず、男性は27歳と同じだ。にもかかわらず平均初婚年齢は20年間で男女ともに2歳以上上がった。なぜか。

×平均初婚年齢が上がる → みんなが結婚する年齢が上がった

のではなく

○たまに年食って結婚する人がいて平均を押し上げただけ 

なわけで、最も結婚する中央値は27歳で変わらないのである。一昔前はそんなに年食ってから初婚の人は少なかっただけという話だ。なあんだ。しかしそうなるといままで「少子化は結婚年齢が上がったから解決のしようがない」と思い込んでいた我々は考え方を改めないといけないわけですよ。

しかしこれが理解できない人が世の中には多いわけで・・・

同じく平均値と中央値を勘違いする例

たとえば平成21年全国消費実態調査の2人以上の世帯の平均貯蓄額だが

平均は1521万円で「なんだ、こんなに多いのか」と思うわけだが、大金持ちが数人紛れ込むと平均はドカンと上がるわけです。中央値は900万円。

同様に日本の平均寿命ですが

男の平均寿命は81.05年、女の平均寿命は87.09年ということですが、死亡の中央値は

という感じで、男性が85歳、女性が92歳くらいになる。

こちらは逆に赤ちゃんの時に亡くなる人がいるので平均は中央よりずっと低くなるわけです。つまり女性はもう90歳を超えて死ぬのが普通で、

90歳以上がいまや273万人もいるという現実

に気づかないわけです。平均年齢より実際に亡くなる年齢の方が5歳以上高いわけね。

GDPではまだまだ日本は世界のトップの妄想

この間、日本はドイツに抜かれてGDP4位になるとはいえ、これだけ高い位置にいるのは国民が頑張ってるからという人がいて笑った。

PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が予測する2050年の世界GDPランキング

GDPは国民総生産であって1人あたりではない。つまり人口が多いほうが有利になる。1人あたりのGDPでいうと日本の順位は

10位にもいない・・・・・。なんと31位だ。

要するに「日本のGDP世界2位」は若い世代の人口が多かったから」であって、1人あたりのGDPは二流の下。同様に中国もインドも日本より下。

すでに日本は人口激減のサイクルにはいり、国民総生産のGDPは怒下がりしていく。この予測順位は日本の国立人口問題研究所の決してあたらない忖度山盛りのアマアマ人口予測に基づいているので実際には人口激減のスピードは遥かにはやく、GDP順位の落下はもっと早まるはずだ。

日本はもう豊かな国ではないし、国が金ばらまける能力もないんですよ。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年12月21日の記事より転載させていただきました。