ライドシェアだけじゃない、深刻な人材不足:AIとITじゃ解決できない

ドジャーズの金に糸目を付けぬ戦略には驚きです。山本由伸選手を12年間3億2500万㌦で獲得したのは個人的には大谷の「後払い契約」で選手補強の資金余力が出来たこともあると察しています。ドジャーズにとっては「一粒で二度おいしい」話ですが、同チームも日本人選手との縁が多い中で大谷の配慮に一肌脱ごうということだったのでしょう。24年は両名の投打の活躍、25年には両投手そろい踏みの活躍が見られそうです。これは日本のファンにとっても釘付け間違いなし、明るい話題です。

では今週のつぶやきをお送りします。

あれれ、掉尾がない?

日本株の値動きの重さがここにきて顕著になってきました。プラスサイドは需給が改善していることと来年からの新NISAへの期待。マイナスサイドは為替、そして今週相次いだ企業の不祥事や任天堂創業家のファミリーカンパニーによる東洋建設TOB失敗など小さなニュースながらも「ダメダメ」的なイメージでした。来週の本年取引最終週は下げもしないが、爆上げもなさそうです。クリスマス休暇でニュースが枯渇する中、サラリーマンのボーナス資金の市場への流入も今のところは限定的のようにみえます。

一方の北米はタガが外れたような上げ相場になっています。最大の理由は利上げの停止というより利下げのタイミングの前倒し予想が膨らんできていることです。本日発表のPCE(個人消費支出)の上昇率は2年9か月ぶりの低い水準となる2.6%、コアも3.2%でFRBが目指す2%のインフレ率に向けて第4コーナーを曲がるところまでやってきた感じです。物色銘柄の範囲も広く最悪期からの脱却が意識される展開です。

その中で注目は金(ゴールド)で今日も2060㌦台で今後、ドル建ての金価格がドルの下落と共に確実に上昇するので目先2200㌦程度の史上最高値圏が期待できます。(日本円の金相場は円高と相殺でされ、目立たないかもしれません。)合わせてビットコインは半減期が来年初春ごろと見込まれ、今後2か月ぐらいで5万㌦回復はあり得るとみています。アメリカでビットコインの現物ETFの承認の可否も1月中旬ぐらいまでには出る見込みで、可となれば上昇に弾みがつくでしょう。こう見ると北米は比較的華やかな材料に恵まれていると言えそうです。

ひろが思う今年の一言

この時期になると今年の10大ニュースなるものがメディアに踊ります。個人的には5月のコロナ5類への移行は大きく、全ての国民に安ど感が漂った瞬間で私の中ではトップの出来事だと思います。広島サミットも注目されましたが、個人的にはゼレンスキー氏を招へいしたことで全体感が捉えにくくなり、BOLDな印象が無くなったと思います。あれは岸田さんの性格でどれも過不足なく調整したいという欲張りさ故なのですが、それが逆に安倍元首相との比較で印象の薄さになるのでしょう。

そんな中で今年の一言はズバリ、「こんなにあいたパンドラの箱、芸能、大学から経済、政治までグタグタニッポン、何処に行く」を掲げたいと思います。再三指摘する謝罪文化ニッポンでありますが、今年は特に磨きがかかって旧ジャニーズ、宝塚、日大、ビッグモーター、ダイハツに自民党政治資金問題と多すぎて年越しになってしまいました。思うに組織の閉鎖性が共通点ではないかと思います。

私が時折話題にするように日本の歴史が農耕をベースとする共同体組織、平たく言えばムラ社会がそのまま現代に引き継がれ、「俺の秘密はお前の秘密」的な発想は現在もずっと起きているのでしょう。だいぶ前にあったオリンパス事件とか東芝問題も同じです。いわゆるアメーバ的な10人前後の小規模組織が家族的というか盃を交わしたような良きも悪きも強い団結をすることによる功罪です。そういう意味では日本の働き方と組織論が大きく変化しない限り似た問題は何年たっても起きるわけでなんとも悩ましい状況は続くのでしょう。

ライドシェアだけじゃない、深刻な人材不足

コロナ明け後、人流が増加となりタクシー不足が現実的なものとなり、政府も重い腰を上げ、来年一部でライドシェアが解禁になるべく議論が進んでいます。業界団体は相変わらず反対と言ってますが、やむを得ないと思います。解禁直後は参入者が激増すると思いますが、2-3年すれば優勝劣敗で落ち着くとみています。いわゆるギグワーカーとして配達などをする人も一時は増えましたが、脱落者がでてちょうどよくなりました。つまりどんなビジネスでも変化があると一時的にそこに人は群がるけれど残るのは全体の2-3割という原則は普遍なのです。

人材不足はどの業界でも共通。飲食関係でもその不足ぶりは深刻で結局、能力がある人はお金で釣り上げられたりして事業の生き残りが明白になります。特に24年は物流問題が話題になっていますが、時間外労働の猶予措置は建設業も医師も同じくなくなります。それ以上に私が着目するのは被雇用者の転職がかつての日本で見られなかったほど頻繁になりつつある傾向です。「こんな仕事だと思わなかった」という自分の期待感との相違であっさり退職するケースが後を絶たないのです。雇う側は「一生懸命教えて、ようやく覚えたら辞められた!」の嘆き節です。

byryo/iStock

日本人もデジタル世代が主軸となり、一日中スマホとしかやり取りしない方も増えています。特に知らない人とのリアルのやり取りなど全くもって未知の世界。仕事では自分より年上や難しい方々もいる中で凹むようなやり取りもしばしばとなれば「やってられねぇ」「精神的に参りました」になるのでしょう。ただでさえ人材不足なのに人材の有効活用できず、生産能力が更に低下するリスクに直面することになりそうです。AIにITがあるから代用が効くという方もいますが、それは表面的なこと。本質問題はそれでは解決しないと思います。

後記
北米はクリスマス直前なので街の動きもスローになってきました。かといって浮かれた感じにも見えず、静かにご家族や友人で集まる方が多いようです。今年はカレンダーの並びからカナダは23日から4連休が多く、年内は今日で終わり、というところもあります。例年になく暖冬で冬至は最も寒くなるはずが日中は7-8度もあるのは地球温暖化の一環だろうと思います。時間があれば一部で人気が盛り上がるスノーシュー(かんじき:雪山のハイキング)でも行きたいところです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月23日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。