① 2024年大統領予備選挙
2024年1月15日からIA州共和党の党員選挙がスタートし、2024年総選挙にむけた大統領予備選も本格化します。
3/5のSuper Tuesday以前に実施する共和党予備選・党員集会は以下の日程です。地図では赤色に表示しています。
1/15: アイオワ州党員集会
1/23 :ニューハンプシャー州予備選
2/8:ネヴァダ州党員集会
2/24:サウスカロライナ州予備選
2/27:ミシガン州予備選
3/2:アイダホ・ミズーリ州党員集会
3/3:コロンビア特別区予備選挙
3/4: ノースダコタ州党員集会
共和党大統領立候補者のニッキー・ヘイリー氏に献金が集まってきているというニュースも増えてきていますが、トランプ前大統領に追いつくまでには至っていないようです。
1月にIA州党員集会・NH州予備選が行われますが、世論調査でトランプ前大統領に追いつきそうな共和党大統領立候補者は未だ表れてきていません。
12月に実施した世論調査ではTrafalgar Group ・CBS Newsともにトランプ前大統領が10ポイント以上のリード。ヘイリー氏は元SC州知事だったので、SC州ではリードしていてもいいはずですが、12月のTrafalgar Group調査ではトランプ前大統領に大きくリードされたままです。
New @trafalgar_group #SC #GOP Primary #poll revealed exclusively at the #FITSRAC in #MyrtleBeach
48.7% @realDonaldTrump
22.8% @NikkiHaley
14.4% @rondesantis
6.1% @VivekGRamaswamy
5.8% @ChrisChristie
0.3% @AsaHutchinson
1.9% UndSee full report: https://t.co/pwHdwAZCUx pic.twitter.com/aQy7IQOrWh
— Robert C. Cahaly (@RobertCahaly) December 9, 2023
大票田のFL州・GA州の調査(11月が最新)でもトランプ前大統領がリードしており、現段階のまま進めばトランプ前大統領が共和党の正式な大統領候補になる可能性が高まっています。
トランプ以外の候補者が団結して1名に絞り、共和党メガドナーからの献金が集中するようになればまだ追いつく可能性はあります。共和党のメガ・ドナーの大半はトランプ前大統領には反対しているので、団結できれば流れが変わるのですがね。まだその段階には至っていないようです。
ケネディJr氏が無所属で立候補した影響
今のところ、騒がれているほど影響はでていません。
というのも、まだ50州のうち1つも大統領選挙の投票用紙に名前を載せる手続きを進められていません。無所属で投票用紙に名前を載せるには、各州で決められた期限までに、一定数の署名数が必要になります。一番早い州では、NC州とUT州があり、3月上旬と期限が迫っています。
ケネディ氏を支援するスーパーPACは10州での投票用紙に名前を載せるために最大$1500万をつかうと発表したものの、50州すべては極めて厳しい道のりです。無償ボランティアなしで、投票用紙に名前をのせる署名を集めようとすると1人$15ほどかかるという試算もあります。投票用紙に名前を載せるだけで莫大な資金が必要になる。それが各州ごとに必要となるわけで、気が遠くなります。
じゃあ、2000年に共和党でも民主党でもないラルフ・ネーダーはどうやったんだ?というツッコミを入れたい方もいるので少し書いておきます。
ネーダー氏は無所属ではなくGreen Partyから出馬したというのがポイント。Green Partyは1980年代半ばから草の根活動がはじまり1990年代半ばに政党として形になってきたのですでに草の根のネットワークができていたわけです(引用元:Green party)。
尚、Green Partyは2024年総選挙で15州&ワシントンDCの投票用紙にGreen Party党から候補者を出せる予定です。10州では、投票用紙にGreen Partyを掲載できるように署名活動中・資金集め・訴訟中といったところだ。全く動けていない州もある。
② 2024年連邦議会議員選挙
2024年上院選では共和党は50議席確保の見込み
上院議員の任期は6年で、だいたい議員100名のうち3分の1が再選挙となる。ただ、その年によって3分の1の議員の党別の内訳はかなり偏っているのだ。2024年でいえば、共和党で再選挙となる議員はたった11名なのに対して、民主党は20名、無所属(といっても民主党と連携している)3名が再選挙となる。
なので、基本的には2024年総選挙は民主党が極めて不利な状況だ。共和党が50議席確保できることはほぼ規定路線であるが、そこからどこまで追加できるかが勝負だろう。今年民主党から無所属に変更したAZ州シネマ議員・MT州の民主党テスター議員・OH州民主党ブラウン議員が接戦となっているため、民主党は3席の議席を失う可能性がある。とはいえ、 テスター議員・ブラウン議員は既に2期務めており3期目を目指すことになる。接戦というほど、そうならない気もしている。
一方で、問題なのはAZ州だ。AZ州は現職のシネマ議員が今年に民主党を離党したことで、民主党候補者(現職下院議員の Ruben Gallego氏)・共和党候補者(AZ州知事に立候補したKari Lake氏)・無所属で現職のシネマ議員の3人で競うことになる。
先ほど述べたOH州ブラウン議員・MT州テスター議員が無事に議席を死守できれば、共和党が51議席をとれるか、50vs50で副大統領の1票で勝利となる民主党が勝利になるかの勝負となる。AZ州上院選は過去最高の選挙資金が集まることになるのではないだろうか。両党とも負けられない戦いになるだろう。
2024年下院選は引退議員が相次ぎ、接戦になる
上院と異なり、下院議員は2年ごとに選挙を実施する。
年内でマッカーシー元下院議長が引退し、マクヘンリー議員は2024年総選挙で再選を目指さないと先日発表した。民主党下院議員の引退宣言も相次いでいる。共和党下院議員の引退表明は10数名なのに対して、民主党議員21名の下院議員が今期限りで引退を表明した。長年シリコンバレー地区の下院議員だったエシュー議員 などベテラン民主党議員引退が相次ぎ、更にプログレッシブコーカスが勢いを増すことになるだろう。
また、忘れてはいけないのがゲリマンダーの訴訟状況だ。先日はTX州の選挙区割りについて最高裁が介入しなかったので、共和党に有利な状況となった。
下院選挙はゲリマンダで決まるといっても過言ではないので、その進捗は追ってまた書くとする。
【参照記事】
- https://www.270towin.com/2024-presidential-election-calendar/
- Cornel West roasts Dems as ‘spoiler’ polls roil the left: Neither party holds ‘ownership’ of the voters
- The expensive, daunting fight to get RFK Jr.’s name on state ballots
- Early History of the United States Green Party, 1984-2001
- McHenry, who served as interim speaker, will not seek another term
- Eshoo, longtime Silicon Valley lawmaker, announces plans to retire
- Supreme Court Hands Texas Republicans Huge Win
編集部より:この記事は長谷川麗香氏のブログ「指数を動かす米議会」2023年12月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「指数を動かす米議会」をご覧ください。