兄弟関係のアルゼンチンとウルグアイ
アルゼンチンとウルグアイは歴史的に共通の過程を踏んでいることから、兄弟関係にある国同士だ。アルゼンチンが兄でウルグアイが弟だ。
ところが、最近まで両国は政治的に仲が良いとは言えなかった。昨年までの左派政権のアルゼンチンと右派政権のウルグアイで、両国は南米南部共同市場(メルコスル)においても衝突が目立つようになっていた。アルゼンチンで右派のミレイ大統領が先月誕生したことによって両国の関係は改善に向かうであろう。
アルゼンチンの通貨切り下げで迷惑しているウルグアイ
昨年までアルゼンチン中央銀行はペソの切り下げを繰り返し実行して来た。その影響をもろに受けていたのが隣国のウルグアイだ。
ウルグアイ・カトリック大学の調査によると、ウルグアイの方がアルゼンチンよりも昨年8月の時点で相対的に物が126%割高になっているということだ。(8月14日付「ラ・ディアリア」から引用)。
ウルグアイからアルゼンチンに消費者や観光客が殺到
これによるインパクトはウルグアイの消費者の間で顕著になっている。同国の消費者が隣国アルゼンチンで買い物をする人が急増しているのだ。同様にウルグアイからアルゼンチンを訪れる観光客も増えている。
一方、それがウルグアイの生産業者と輸出業者にとっては競争力を失う結果となっている。実際、ウルグアイの製品の売上が昨年6月の時点で40%減少したという。同様に、アルゼンチン旋風の影響でウルグアイでは2万人が雇用を失なったそうだ。(6月13日付「イ・プロフェシオナル」から引用)。
昨年6月中旬のウルグアイの連休時には8万人がウルグアイからアルゼンチンに車で国境を通過したことが記録されている。アルゼンチン通貨ペソの切り下げでウルグアイからアルゼンチンに向けてさらに買い物客や観光者が急増するのは必至である。(同上紙「イ・プロフェシオナル」から引用)。
僅か350万人の人口しかいないウルグアイで、一昨年だとその76%の人がアルゼンチンを訪問したという。その影響で総額6億5890万ドルがアルゼンチンで消費されたそうだ。昨年も、第1四半期だけでおよそ114万人がアルゼンチンを訪れ4億7100万ドルを消費している。(同上紙「イ・プロフェシオナル」から引用)。
その一方で、アルゼンチンの富裕者は税金の少ないウルグアイに移住する人が増えている。しかし、アルゼンチンで右派のミレイ大統領が登場したことによって、アルゼンチンペソの切り下げもその度合いを少なくして行くはず。だからウルグアイからアルゼンチンへの観光客の流れも幾分減少して行くであろう。しかし、まだ現在もアルゼンチンにおいてウルグアイからの買い物客は目立っている。