一部メディアでは、日本の避難所は体育館などを使用しておりプライバシーがないとか施設が不十分であるとか言う声がありますが、これは言っている人が様々な国の社会インフラを実際に見ていないことがよくわかります。
こういった人たちは、海外視察時にとくに豊かな自治体を見てきたのだなあという印象を受けました。
日本で「海外では〜」と言い張る大学の研究者、有識者、ジャーナリストといった人々は、実は視察用に現地コーディネーターや受け入れ先に用意された特に豊かな自治体やごく一部の事例だけを数日間見ただけということがよくあります。
北朝鮮の観光ツアーに参加してそれを北朝鮮だと言い張る観光客と同じです。現地語すらわからないので自分の足で歩いて、現地で生活して体験したわけではないのでわかるわけありません。
2023年12月8日に発売された私の新作書籍『ニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、実は、北米や欧州の先進国であっても、日本のような公民館やコミュニティーセンター、自治体の文化会館、学校の体育館といったものすらがない国や地域が非常に多いのです。
日本ではこういった公的な施設が当たり前になっていますから、気がつかない方が多いと思いますが、実際に海外で住んでみると、日本のように綺麗で耐震対策まで行われているようなものはほぼないということにたいへん驚かされます。
もちろんドイツやアメリカの豊かな地域のように、そういった設備が整っている地域もないわけではないのですが、先進国全体で見ると、そういったものがない地域の方が多いのです。
また、学校に関しても、体育館どころか、校庭すらほとんどないという公立の学校は珍しくありません。
体育館がないので、室内競技など子供は一生やることがありません。
機械体操や跳び箱などをやるのは、私立の学校に通うごく一部の児童のみと言うところだって少なくないのです。
しかも、私立の学校であっても、日本よりも様々なコストが高いですから、その体育館やホール等の設備は、実は大したことはありません。富裕層である親たちは、「学費が高い、高い」と言いまくり、その貧相な設備を自慢しまくります。
日本の公立の学校や自治体のホールのほうがはるかに立派だということを知ると、彼らは閉口してしまいます。これを知っている中国や韓国の親達は、ほぼ無償でその様な設備を使用できる日本の公立のよさを知っていて、一族で教育移住してくるわけです。それほど恵まれたものは母国にはないからです。
イギリスなど比較的豊かな自治体であっても、驚くことに自治体の公民館は、第一次世界大戦の頃から使っている納屋のようなものということがあります。
私は実は子供の誕生会で自治体のホール、つまりビレッジホールというものに招かれたことがあるのですが、日本の感覚で言うと昭和初期に建てられた、まるで馬小屋のようなボロボロの建物で、たいへん驚いたことがあります。古いものを大事にするといえば聞こえは良いですが、単に新しいものを作るお金が無いだけなのです。
しかも、このような施術の使用料金は無料ではなく、日本の基準で言うと非常に高いのです。
この地域は家が1軒3億円とか2億円といった。比較的裕福な地域で、市民税も安くは無いのですが、日本のような新しくて清潔な公民館すらないのです。
他の地域の公的な設備にも行きましたが、日本の基準で言うと恐ろしく古く、とても清潔とは言えませんでした。
この感覚で言うと、まるで昭和30年代から40年代の非常に貧弱な公民館です。トイレは非常に古めかしく壊れていることもあります。
私はイタリアに住んでいたこともありますが、富裕層の家が並ぶ一方で、公的なインフラというのはまったく大したことがありませんでした。
このような状況ということは仮に災害が起きた場合に、地元の人々が避難できるような屋根付きの設備がないということです。
ほとんどの自治体には、様々な公民館やコミュニティーセンターがあり、公立の学校にはほとんどと言っていいほど体育館があるような日本と言うのは、実は屋根付きの建物を避難に使えるたいへん豊かな国なのです。