パリの甘い魅力:ラデュレ・シャン=ゼリゼ店の洗練された世界

お菓子の都、パリ。アートや建築、ファッションなど、魅力に事欠かない街だが、お菓子も大きな自慢だ。モンブランで有名な「アンジェリーナ」、クリエイティブなオートクチュール菓子で常に時代を切り開く「ピエール・エルメ」など多くの名門パティスリーがひしめく中で、ひときわ高い人気を誇っているのは「ラデュレ」だろう。

1862年、パリ中心地ロワイヤル通りに誕生。2022年には創業160年を祝い、今では世界の主要都市に店舗を構えるフランスを代表するパティスリーだ。

シャン=ゼリゼ大通りに立ち並ぶ店舗の中でも一際目を引く、「ラデュレ」シャン=ゼリゼ店。
©Hadrien Favreau

2021年から「ラデュレ」のシェフ・パティシエとしてクリエーションを統括するのは、ジュリアン・アルヴァレズ。2011年パティスリー世界チャンピオンのタイトルを獲得している実力派。彼が創造した2023年のビュッシュ・ド・ノエルは、パリの大人気製菓雑誌で”今年のビュッシュ”に選ばれるなど、旺盛な創造力を発揮している。

パリ市内には、ロワイヤル通り店を含めいくつかの店舗があるが、今、一番の注目は、シャン=ゼリゼ店だ。

1997年にオープンしたこの店舗は、2階にわたって総面積1000m2を誇る、同メゾンのフラッグシップショップ。数ヶ月のリニューアルを経て、この冬、新オープンしたばかり。

入口を入ると大理石の床や階段が優美に広がる。
©Hadrien Favreau

広大な空間は、19世紀の瀟洒なブルジョワ邸宅のようにいくつかの部屋に分かれていて、美しい大理石や暖炉、ビロードや絹を貼った椅子、優美な鉄細工やシャンデリア、装飾を施した漆喰天井などがあしらわれた、フランスの洗練された生活様式に則った内装。いかにもパリらしい美意識に満ち溢れた空間で、朝食から夕食まで、「ラデュレ」の美味を味わえる。

華やかで落ち着いた雰囲気の客席。
©Hadrien Favreau

「ラデュレ」といえばマカロンが有名だが、生菓子やサブレなどマカロン以外のお菓子も人気だし、料理にも定評がある。また、ソフトクリームベースのパフェ、咋秋の新作でメゾンの名作菓子風味のラッテなどホットドリンクも提供。

新たにデザートバーも誕生し、ここでは、作り置きのパティスリーではなく、バーの中にいるパティシエたちがその場でデザートを作って供してくれるライヴ感満載のアフターヌーンティーも。また、アトリエサロンもあり、ここではお菓子作りのデモンストレーションや講習も開催予定。

作りたてのデザートを楽しめるバー。
©Hadrien Favreau

朝は、優雅なサロンで窓越しにシャン=ゼリゼを眺めながらで、クロワッサンやパン・ペルデュに、メゾン自慢の香り豊かなフレーヴァーティーでまったり朝ご飯。昼は、ヘルシー料理とお菓子で、楽しいランチ。午後はピアノの生演奏に耳を傾けながら、パフェやデザートバーで甘味三昧の優雅なひとときを。夕暮れは、カナッペやマカロンを齧りながら、カクテルやシャンパーニュでアペリティフタイムをゆっくり過ごす。

「ラデュレ」の魅力を、朝から晩まで、味覚だけでなく五感で満喫できる新空間の誕生。パリ滞在の思い出の1ページを、素敵に演出してくれるだろう。

六種のデザートやパティスリーからなるアフタヌーンティー。
©pmonetta

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