国交省とタクシー業界の出来レース?「日本版ライドシェア」が骨抜きに

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

国交省が所謂「日本版ライドシェア」のパブリックコメント募集をスタートし、そのたたき台となる素案が発表されました。

新規参入もなく、完全に現行のタクシー会社に許可されている範囲内(地域・台数)の運用。ライドシェアとは名ばかりの、単なるタクシー業界の規制緩和でしかありません。

そもそも新規事業者の参入ができないというだけで大問題なのに、雇用契約を結ぶ台数にすら制限をかけてしまったら、需給調整ができるライドシェアのメリットが完全に失われます。

目も当てられない制度設計を以下に引用しておきます。

mbbirdy/iStock

(1)許可基準

・対象地域、時期及び時間帯並びに車両数
タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が配車アプリ等のデータに基づき指定していること。

・資格要件
一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けていること。
(注)タクシー・ハイヤー事業者以外は駄目よという意味

・管理運営体制
運行管理、車両の整備管理や研修・教育を実施する体制が整えられていること。 安全上支障のないよう、勤務時間を把握すること。

・損害賠償能力
タクシー事業者が対人 8,000 万円以上及び対物 200 万円以上の任意保険に加入していること。

(2)許可に付する条件

・使用する自家用自動車について
タクシー事業者ごとに使用可能な車両数は、地方運輸局長等が通知する範囲内あること。
通知する車両数は、許可地域ごとに2.(1)の車両数の範囲内であり、かつ、事業者ごとに当該地域に配置している事業用自動車の車両数の範囲内とする。
自家用車活用事業であることを外部に表示すること。

・ドライバーについて
タクシー事業者は、ドライバーに対して事前の研修(大臣認定講習を含む。)及び教育を受けさせること。
タクシー事業者は、ドライバーに対して運転者証明を携行させること

・運送形態・方法について
利用者とタクシー事業者間で運送契約が締結され、タクシー事業者が運送責任を負うこと。
運送引受け時に発着地が確定していること。
自家用車が配車されることについて、利用者の事前の承諾を得ていること。
運賃は事前確定運賃により決定し、支払い方法は、原則キャッシュレスであること。
発着地いずれかがタクシー事業者の営業区域内に存すること。

↑特に駄目なところは太文字にしてみました。全般的に駄目ですけど。

川邊健太郎氏も突っ込んでいますが、「発着地いずれかがタクシー事業者の営業区域内に存すること」とかひどすぎて、まったくライドシェアのメリットが活かせません

その地域にタクシーがいないから困っているのに、その営業区内からしかライドシェアが呼べない(または行けない)とか、どういう業界忖度なのでしょうか…。

加えて度し難いのは、このパブコメ募集の内容・制度設計を見越して、すでに1月の段階で東京ハイヤー・タクシー協会が国交省案と平仄を合わせたガイドライン案を発表していることです。

もちろん業界の意見を聞くことは大事ですが、これは完全に業界の意見ありきで物事が進んでおり、パブリックコメント募集は完全な言い訳・体裁としてやっているだけと思われても仕方ないのではないでしょうか。

日本維新の会はこうした偽りの「日本版ライドシェア」に対して、国会質疑を通して厳しく指摘をしていきます。

皆さまも拡散やパブリックコメントへの応募などで、真のライドシェア解禁への声をあげていただければ幸いです。

パブコメへの投稿はこちらから。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155240909&Mode=0

国交省が発表した制度設計案。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000268711


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年2月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。