バブリーな日経平均はバブル時を超えるか?:スピード違反の株価の反応

アメリカ大統領選挙の注目点の一つにトランプ氏の財布があります。あれだけの訴訟をかかえ、最高水準の弁護士団への費用だけでも何十億円を湯水のように使っています。今般NY地裁から一族の資産管理会社の資産水増しによる不当利益に対して罰金530億円他様々な罰則が科せられました。

トランプ氏のことですからどうせ上告するのでしょう。しかし、カネはかかるのです。選挙活動費も夏までには枯渇するとされます。調べたわけではないですが、トランプ氏がいくら金持ちだと言っても実態としてはもう借金大魔王ではないかという気がします。化けの皮を被り続けられるのか、見ものです。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

バブリーな日経平均はバブル時を超えるか?

日経平均が一時、史上最高値にあと50円と迫るところまでやってきました。正直驚きです。専門家は年初、今年は38000円ぐらいまでという予想は並んでいましたが、史上最高値をつけると読んだ人は少数派でした。ましてや2月の中旬にそこまで達するとは誰も想像していなかったはずです。

ということは目標達成で一服する可能性は高いと思います。ただ、中国から引き上げた投資マネーをアジアで運用し続けたい投資筋や再度のインフレ懸念を抱え始めた北米市場と比べ、東京市場は規模的にも安心感的にもちょうどいいわけです。

物色の範囲も指数相場からやや広がりを見せており、グロース市場の株価も反応し始めており、好循環になってきています。10-12月決算を見る限り善し悪しが明白に出ていますが、好決算を提示した企業へはマネーが集まる形になっています。

3か月前の決算期にこの項でソニーより楽天と申し上げたのですが、これはドンピシャだったと思います。つまり投資はリスクテイクそのものなのです。ただ、いくら何でも今の日経平均は上げ過ぎだし、スピード違反です。一旦、最高値を付けた後、反落し、調整に入り、その後、4万円を探るのでしょうか?

ただ、経済全般を見ればそこまで手放しというほどでもない気がします。また、個別の日本企業は小粒すぎて海外の機関投資家が直接的に売買しやすいのはせいぜい300銘柄程度でしょう。そうなれば代わりに指数、例えば日経平均そのものに投資することでリスクをヘッジすることは可能でしょう。

となれば指数がリードし、現物の株価が後からついていくという現在のシナリオに整合性があるとも言えるのです。このあたりはテクニカルであり急騰しやすい反面、急落するリスクもあるので要注意かと思います。

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「次元の異なる少子化対策」は発想の次元間違い

批判が多い児童手当の拡充を含む少子化対策の改正法案が閣議決定し今国会に提出の見込みです。財源として公的医療保険に上乗せ、当初数百円でその後500円程度となる見込みです。

首相は公的医療保険が将来下がる見込みでそれとの相殺だから国民負担はないと言っています。お年寄りからは児童手当より老人手当をくれ、といった街の声も出るなど財源を医療保険を通じて確保する姑息なやり方に岸田氏のステルス増税をする増税メガネの真骨頂であります。財務省のポチなのは自身の党内勢力地図を考えれば麻生派をしっかり取り込まなければ自身の立場はないという立ち位置がそうさせるのでしょう。

しかし、それ以前に少子化対策に児童手当とか3子いる家庭の大学授業料無料など何が何でも手当をつけて子育てが所得の邪魔にならないようにすることが正しい政策なのでしょうか?

何度も言うようですが、これは子育てに経済的不安を持つ家庭への問題解決提示でありますが、支援金⇒子供を産むという直接的な動機にはなりません。「ないよりまし」程度です。

今週もあった子供の虐待で両親が逮捕されたケースなどを見ても必ずしもお金の問題ではなさそうです。むしろ親が子育てそのものが出来ないのです。もちろんあのような事件は極めて少ないのだと信じていますが、それにしても親が親たる能力を持ち合わせていない点に着目すべきでしょう。

少子化の本当の対策は子供が欲しいと思わせる環境づくりです。その一つが大人の生活習慣の変化です。日本のようにモノがあふれ、娯楽やエンタテイメントが何処でもある社会が生まれると適齢期の人たちは家庭を作るより自分たちが楽しみたいという世界に走るのは当然です。そしてスマホに常時接続状態の人々の生活習慣が家庭中心ライフ、子供をつくるといった発想に至らなくなるのです。

終戦直後は日々の生活にも飢えていたのに子供を作りたいという人たちが多かったおかげでブーマー族が存在したのです。少子化対策は必ずしも経済的に恵まれることが必要条件ではないことに気がついてもらいたいものです。

「学び直し」は静かなブームになるのか?

皆さんは小説でもビジネス本でもよいですが、読み終わった書籍はどうされていますか?

私はジャンルごとに図書館や本屋のように本棚に並べており、2度読み3度読みしやすいよう仕分けしてあります。なぜ、繰り返し読むのか、と言えば1度目と2度目はまるで印象が違うからです。そして「こんな内容だったかな?」と思うこともしばしば。つまり、1度目はいかに粗く読んでいたかばれてしまうのです。

教育も同じで「もしも今、もう一度高校教育を受けるとしたら?」と想像するだけで「何も覚えていないぞ」という焦りが出てくるわけです。

ある大学の先生と話をしていて「リカレント」の話題になりました。その大学でもリカレント教育に力を入れているようです。私の母校もこのところリカレントプログラムが増えてきています。何しろ我が母校にはいろいろな意味で有名な教授陣が多く、話題になった方ゆえに話を聞いてみたいと思う訳です。多くは3か月ぐらいの講座で数万円ぐらいの受講料になっています。残念ながらリアルのクラスのようなので私は参加できないのですが、極めて良い傾向かと思います。

参加できるなら3食抜いてでもそれらの講座に出てみたいです。理由は知への欲求と過去不充分な知識で宙ぶらりんになっていたものをある程度のレベルにまで引き上げたいからです。つまり「知っているつもり。だけど実際は薄っぺらなものだった」という部分を改めたいわけです。

最近読んだ本に「日本書紀」と「古事記」の比較で政治的陰謀を問うものがあり、藤原不比等が自己都合で描き上げた「日本書紀」は事実を表していないのではないか、といった話題には私はつい飛びついてしまい、関連本を買ってきてはその時代を調べてしまうのです。まさに学び直しです。楽しいです。

後記
昨日、行きつけの美容室に行った際、店長の奥さんが呟きます。「株価が上がっているんだって?さっき来たお客さんなんて髪の毛やっている間、ずっとスマホで株価見ていたわよ。儲かるのかしら?新NISAってやるべきかしら?」と。

10年以上通ってきましたがこんな話題を振られたのは初めてです。つい思い出すんですよね、NYで1929年の大暴落前の靴磨きの少年の話とか日本のバブルの頃に株式占いで巨額融資を受けた料亭の女将、尾上縫の話など。そのうち、新しい格言が出来ますよ、「美容室で株の話が出たら相場はピークだ」と。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月17日の記事より転載させていただきました。