その資料は、議員に説明するための「ベスト」なものになっていますか?
与党の議員であれ、野党の議員であれ、国会議員の持つ政策への影響力は多様かつ大きいものです。皆さんの提案する政策に耳を傾け味方になってくれれば、これほど心強いものはありません。
実は議員サイドも、よりよい政策のタネになるような提案や情報提供については大歓迎です。よい政策を実現できれば議員としてもうれしいですし、政策に関する自分の実力を対外的に示せるからです。
でも、「よし!議員に政策を提案しに行こう」とアポ入れをする前に、いったん立ち止まって考えてほしいことがあります。それは、「自分の資料は議員に説明する上で『ベストなもの』になっているか?」ということです。
議員は民間企業とはまた別の時間軸、価値観で行動しています。説明用の資料に関しても、いわば『議員説明用フォーマット』とでもいうべき暗黙の了解が存在します。
このことを理解せずに、民間企業の間で行うようなプレゼン資料と同じ内容のものを作り、議員にもっていった場合。「この企業の提案は理解できないし、説明を聞かされても時間の無駄。今後会う価値がない」と思われてしまうかもしれません。
そんなことにならないように皆さんには、自分の資料が、「議員に説明する資料のフォーマット」に沿っているか、今一度確認してほしいのです。
まず、相手の立場に立ってみる。議員とはどんな人たちか?
資料を作るにはまず相手をよく知ることです。
まず肝に銘じるべきは、「議員とはとても忙しい」ということです。国会があろうがなかろうが、議員のところには様々な人が相談や陳情に訪れています。通常議員にアポ入れをする際、アポが取れたとしても短い場合は「15分」ということもあります。そして予定も流動的で、「国会が入ったからリスケして」なんてこともありますし、官僚に対しては「明日、予定が空いたけど来れますか?」なんてこともあったりします。
また、議員は「幅広い分野の政策のことを考えなければいけない」ことも肝に銘じるべきです。
読者の皆様は、特定の分野の専門家であったり利害関係者だったりされるケースも多いと思います。その分野においての課題や実態について深い知識を持ち、「それを変えたい」などの強い動機を持っておられるわけです。
一方で議員は、もっと幅広い分野に関わっています。例えば、厚労省分野に詳しい族議員であっても、その関心事は「医療」に留まらず、「年金」「労働」「子育て」など幅広い分野に及びますし、「DX」「スタートアップ」「海外での日本のプレゼンス」など省庁の枠にとらわれない関心事を持っていたりします。このあたりのギャップを意識することが、議員とのコミュニケーションを円滑にするたすけになります。
肝に銘じるべき3つ目のポイントは、「議員には『選挙』がある」ということです。議員としての立場は、選挙で支持がなければ維持することが出来ません。そのため議員は永田町、霞が関で政策を考えているだけではなく、次の選挙でも当選するために足しげく選挙区に通い、支持者を増やすための活動をしています。つまり、普段永田町で活動している中でも頭の片隅に自分の選挙区、支持者のことを常においています。
今回の記事ではこの3点への配慮を基本として、議員にあなたの課題意識を理解し動いてもらうためにどのように工夫すべきか、について解説します。
資料は、議員に与えるあなたの印象を決定づけます。
本当に良い資料ならば、議員が、その後コピーを持ち歩き、あたかも自分が作った資料かの如く同僚議員や官僚に配ってくれることさえあります。
(この続きはこちらのnoteから)
(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)
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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2024年2月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。