韓国で研修医の4分の1が集団退職?

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韓国の聯合ニュースによると「韓国各地の病院で19日、政府が発表した大学医学部の入学定員増に反発する専攻医(研修医)が退職届を提出したり、その一部が実際に医療現場を離脱し始めたりしている。」との報道があった。

韓国全体で専攻医数千人が辞表を提出したとのことだ。大統領が「医学部入学定員増」を打ち出したことが引き金となってこのような状況になっている。専攻医数は1万3000人なので約4分の1がこの行動に参加していることになる。

2020年にも医学部入学定員を増やそうとして医学界からの反発で撤回に追いやられたそうだ。日本では医師のステータスが低下しつつあるが、韓国では医師は依然として超エリートなので、医師数を安易に増やすことへの反発心は強いようだ。

医師数を増やすと言う人力作戦で医療需要増に対応しようとした結果の混乱だが、AIやデジタル化が日本よりも進んでいる韓国で、医師数を増やすことで医療供給増に対応を図ったのは少し不思議だ。科学的に考えれば、出生率が日本よりもはるかに小さく、急速な高齢化が進んでいる韓国こそ、AI・デジタルに舵を切るべきだと思うのだが?

世の中はよくわからない。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年2月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。