一般のドライバーが自家用車を使って有償で他人を送迎するライドシェアが、4月から部分的に解禁される。部分的というのはタクシー会社がライドシェアを管理するからで、海外の先行例とは異なるので「日本版」と称したわけだ。
なぜ、日本版なのか。それは現行法制を変更することなくライドシェアが実現できるようにしたからで、国土交通省の苦心惨憺の結果である。
OECDは”2023 OECD Digital Government Index”を2024年1月に発表した。6指標で各国を評価し、総合成績を出したものだ。
第一の指標はDigital by design。公共部門を完全にデジタルガバメント化するように制度がつくられ、取り組みが進められているか。
第二の指標はData driven public sector。公共部門全体としてデータ共有を促進するために、政府は必要な基盤を整備しているか。
第三の指標はGovernment as a platform。公共部門全体に一貫したプロセスとサービスを安全に提供できるように、デジタルガバメント推進担当がガイドライン、ツール、データ、インフラストラクチャ、ソフトウェアなど共通の構成要素を提供しているか。
第四の指標はOpen by default。オープンガバメントを原則として掲げ、民間との間でデータを相互利用するオープンデータ化は進行しているか。
第五の指標はUser-driven。政策立案やサービス設計に国民を参加させるための一貫したアプローチがあるか。最後の第六の指標はProactiveness。AIの責任ある利用を含め、公共機関が将来を見据えてデジタルガバメントに向けて積極的に動いているか。
第一の指標で日本の評点は0.609、OECD全体の平均は0.684であった。第二の指標では日本の評点は0.525で、OECD全体の平均は0.633。第三の指標について日本の評点は0.505、OECD全体の平均は0.615。第四の指標では日本の評点は0.389で、OECD全体の平均は0.525であった。第五の指標では日本の評点は0.440、OECD全体の平均は0.607。第六の指標について日本の評点は0.431で、OECD全体の平均は0.567であった。
六つの指標の総合成績について日本の評点は0.481で、OECD全体の平均は0.605。六つすべてでOECD平均よりも遅れを取っているため、わが国は33か国中31位と評価された。
現行法制の大半はアナログ時代に形成されたものだ。それを残したままで、デジタルの要素を加えるというわが国のデジタル化手法が、このようにみじめな評価につながっている。公共部門を完全にデジタルガバメント化するように制度がつくられ、取り組みが進められているというわけではない。それがわが国の現状である。
ライドシェアも特別法を制定すれば日本版などと言い訳する必要がなかったのだが、デジタル行財政改革会議にもそれはできなかった。日本版ライドシェアはわが国のDXがいかに遅れているかの象徴である。
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