半導体も豊洲もニセコもバブルまみれ!?

思ったほど盛り上がらないのが派閥裏金問題を吊るし上げるはずの政治倫理審査会を巡る動き。多分、多くの国民は気にはしているのでしょうが案外、いうほどでもない気もします。野党は当初、裏金対象者全員出席を求めていたものの5人衆の出席に「まぁいいか」。公開/非公開のバトルは続いていますが、冒頭だけチラ見せであとは非公開で進むのでしょう。以前、指摘したように野党もこの問題、あまりやりたくないのが本音と思われ「国民が怒っているぞ」と勝手に理由をつけているようにしか見えないのです。だけど脱税として税務当局はしっかりペナルティを含めた税の徴収だけはして頂かないと確定申告のこの時期、影響を及ぼしかねません。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

株はまだ上がるのか?

日本の報道も日経平均が遂に1989年の記録を超えたことを囃すものが目立ち、昨日のブログのテーマ「貯蓄から投資」ではないですが、「私もやってみようかしら」という方は確実に増えるのでしょう。北米市場は以前にも指摘したように株価指標であるS&P、ダウ、ナスダックのどれを見ても長期的に何倍にも上がっています。ただ、北米の場合には弱肉強食で大手が中小を次々買収することで早い成長を達成しており、株価も時間軸で見ると8割以上の期間は株価上昇を示します。また、お金が企業に入り込みやすい仕組みは企業の成長に大きな支援となります。

翻って日本。34年2カ月かけてようやく高値を更新したのですが、北米との違いは明白でした。それは銀行は信用できないから借りず、手持ち資金でチマチマやるでした。買収は様々な利害関係があるので敵対的買収はおろか、よほどのことがなければできない代物でした。ちなみに1985年のM&Aはわずか260件だったのです。その間、韓国と中国が大きく伸びて東アジアの経済競争は激化し、日本は失うものはあれど、地位を維持できる分野がどんどん少なくなっていったのが現実でした。その上、長期にわたるディスインフレが株価の上昇を拒んだ点はあまり指摘されません。

それもようやく改善に向かい、インフレ率は確実に好転、M&Aは22年には4304件と史上最高、23年は4015件とやや減少ですが、今後、多すぎる日本の中小企業と小型の上場企業が淘汰されてくれば世の中の絵図は大きく変化してくるでしょう。また、海外で仕事をする私から見ると日本クオリティは世界でも圧倒するレベルであり、今後さらに磨きがかかればアメリカのビジネスマインドよりも日本のビジネスマインドが世界をリードしてもおかしくない時代がやってくる気もします。そういう長期的視点に立てば株価が上がるかはともかく、日本企業の優位性に改めて焦点が当たると期待したいところです。

半導体も豊洲もニセコもバブルまみれ!?

数年後、今の世界的株価が沈静化した時、人々はそれを振り返り、「半導体バブルだったね」というのでしょうか。木曜日のエヌビディアの株価は16%上昇しアマゾンの時価総額をあっさり追い抜き去り、圧巻でした。金曜日も続伸で、マグニフィセント・セブンの順位は今年に入り、トップにマイクロソフト、そしてエヌビディアが3位に浮上とランクが変化しています。80年代後半の不動産バブル、2000年代初頭のドットコムバブル(ITバブル)、2008年ごろまでのアメリカ住宅バブルなどいろいろありました。ビットコインバブルがバブル本家オランダのチューリップバブルと比較されたのは狭い需給環境の中でそのバランスが崩れたことで暴走が起きたともいえましょう。

日本国内でも半導体バブルが熊本で発生し、人件費が急騰して「熊本物価」を形成、九州の人は「熊本詣」ならぬ「就職するなら熊本でしょう!」なのでしょうか?福岡の人も真っ青ですね。ただ、日本の局地バブルは他にもあります。東京なら豊洲千客万来バブルで約7000円のインバウンド丼なる言葉も。私の顧客のカナダ人夫婦は「昨日、うに丼専門店で食ったぜ!」と。確か1万5千円ぐらいするはずです。そもそもウニを食す外国人はまだまだ少ないはず。あの「ねちょっとした食感」にそこまで払うとは驚きです。ちなみにそのご夫妻と訪れた寿司屋で提供された「白子」には奥さんはアーメンと心で誓いながら目をつぶって口に入れていました。

豊洲千客万来のオープンイベントであいさつをする小池百合子都知事 東京都HPより

現代版日本のバブル総本家といえばニセコでしょう。北米の高級リゾート、コロラドのリゾート群やバンクーバーから2時間弱のウィスラーといった一流のビレッジと肩を並べる高品質な空間を形成しつつあるようです。チャンスがあるなら一度行ってみたいものです。コロラドやウィスラーが既に完成されたリゾートに対してニセコはまだまだ伸び盛り。個人的にはあと10年は開発が続き、新幹線開通に向けて盛り上がっていくと思います。ただ、こちらも工事費などの費用が暴騰し、一部では計画中止もあるようです。ランチは3500円程度だそうですが、米ドル換算なら23㌦でチップなしなら私でも抵抗はありません。ニセコの平均時給は1611円だそうですが、日本で一番高いリゾートの時給は岩手安比高原の1936円だそうです。バブルですよねぇ。

天皇陛下、誕生日のお祝い

天皇陛下の64歳の誕生日、皇居一般参賀は4年ぶりの制限なしで多くの方が皇居を訪れたようです。ある意味、皇居は行きそうで行かないところなので正月やお誕生日など一般参賀がある時は特別の賑わいとなるのでしょう。ちなみに宮内庁が管轄するのは皇居以外に奈良正倉院と栃木の御料牧場、そして京都御所など京都地区の国有財産管理が含まれます。12月に京都に日帰りで行った際、宇治に住む友人に「どうしても京都御所に行っておきたい」と言ったところ、数ある京都の見どころの中で京都御所を選ぶとは驚いたと。ちなみにこの友人、灯台下暗しなのか京都御所には行ったことがないそうです。

京都御所は1337年から1869年(明治2年)まで使われていたもののその後、荒れ放題となったものを明治天皇が嘆き、再建を命じたものであります。今ではこざっぱりとしているものの、だだっ広い割には他の京都の寺院に比べてインパクトが少ないのか、訪れる人もさほど多い感じはしませんでした。その点、日本に帰国するたびに参拝を欠かさない明治神宮は立地条件もあるのか、人ごみの多さ、そして外国人観光客のごった返し感にやや辟易とすることもあります。やはり、静寂に心の落ち着きを感じる方がいいですね。

ところで愛子さまが就職を発表されました。今年、学習院大学をご卒業されますが、4月から日本赤十字社に嘱託社員としてお入りになるそうです。皇族としての仕事と兼任ということで多忙な日々を送られるのでしょう。どんなお仕事をされるのか気になるところですが、上司や同僚になる方は緊張するのでしょうね。個人的には普通の組織がどのように意思決定をし、行動を起こすのか、その原動力を学んでいただければと思います。数少ない皇族の方々であらゆる公務に対応せざるを得ない現状の中、大変なご負担になるとは思いますが、素晴らしい経験となることを願っております。

後記
カナダに戻る際にふと気がついたこと。まず京成スカイライナーが満席の状態で日暮里は外国人でごった返していました。そして成田空港駅のJRと京成の乗り場付近では日本に到着した人達の電車の切符購入でとてつもない列、そして駅のアナウンスは「成田エキスプレスは満席、席は買えません!」と。「そんなこと、あるのかい?」と長年バンクーバーと通勤のように通い詰めたこの駅の激変ぶりにただただ驚くばかり。空港の制限エリアは海外からの乗り継ぎ客も含め、大混雑。バンクーバーに戻る飛行機は春節を中国で過ごした方が成田で乗り継いだのでしょう。エアカナダが中国航空に乗っ取られたような状態でした。いやはや別の意味で疲て果てました。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月24日の記事より転載させていただきました。