画期的な日経平均の史上最高値と共産党の批判

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日経平均、遂に史上最高値

2月22日、日経平均株価は終値で3万9098円68銭を付け、バブル期の1989年12月29日に付けた史上最高値3万8957円44銭を34年振りに更新した。

2008年10月28日には6994円90銭のバブル後の最安値を付けており、今回の日経平均史上最高値はまさに画期的であり、日本経済にとって歴史的な転換点となる。

史上最高値の要因

今回の史上最高値については様々な要因がある。最大の要因は日本経済が30年間のデフレ経済からようやく脱却し、好業績の半導体企業をはじめ、日本経済が新たな成長段階に入ったことを、海外機関投資家が評価していることである。すなわち、日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の改善が株価上昇の最大の要因と言えよう。

その背景として、2012年12月デフレ脱却を至上命題とした第二次安倍政権による大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略のいわゆる「アベノミクス」による円安誘導と日銀の大規模な金融緩和政策で輸出産業を中心に企業業績が好転したことが、その後の株価上昇の起爆剤になったと言えよう。

その証拠に、2012年12月の第二次安倍政権発足後から日経平均は上昇基調に転じているからである。その意味で、自民党安倍政権の功績は大きい。

今後の株価見通し

上記の通り、今回の史上最高値は、円安に伴う好調な企業業績や企業の株主還元策など、日本経済のファンダメンタルズを反映したものであるから、1989年のバブル期のような今後の株価暴落の可能性は低い。株価収益率(PER)も16.47倍であり、基準値15.0倍に比べ株価の割高感はない。米国株は22.20倍である。また、バブル期のPER60.9倍に比べても相場の過熱感はない。

したがって、日経平均株価は、達成感による若干の調整はあるとしても、4万円超えを目指しなお上昇過程にあると考えられる。岩盤のようなバブル期の史上最高値の壁が突破されたため、今後の株価は「青天井」とも言えよう。

株高を批判する共産党

ところが、共産党は機関紙「赤旗」で今回の株高について、

株高は国民生活を反映していない。株高は海外投資家や一部の富裕層を儲けさせるだけである。株高は円安による物価高で苦しむ労働者や一般国民には全く恩恵がない。株高は格差と貧困を拡大するだけである。政府の貯蓄から投資への「資産運用立国」の目玉政策である少額投資非課税制度「NISA」は元本割れの危険性がある。

などと批判している。

しかし、前記の通り、今回の株高は半導体企業をはじめ、好調な企業業績を反映しており、国民生活を含む日本経済のファンダメンタルズと無関係ではない。

労働者を含む個人投資家も2700万人を超えており、「NISA」も20代・30代など現役世代に人気があり飛躍的に拡大しており、口座数は2034万口座、買付額は34兆円の巨額である。これらの個人投資家の拡大も今回の株高の要因であり、富裕層だけではなく株高で利益を得る労働者を含む個人投資家も決して少なくない。

さらに、株高は企業資産を拡大し新たな投資や賃上げの原資を生み経済発展にも寄与する。株高による税収拡大は社会保障の財源ともなり国民生活の利益になる。株高により個人消費も拡大するから景気回復にもプラスである。株高は年金運用基金を拡大するから年金の安定と年金引き上げの原資にもなる。「NISA」の飛躍的拡大の理由は資産運用に有効だからであり共産党の上記批判は当たらない。

以上の通り、株高は国民生活にとってもプラスであり、日本経済の成長発展にも様々な経済波及効果がある。共産党は上記の株高の経済効果を全く無視し批判のみをしているに過ぎない。

その理由は、少しでも株高の経済効果を認めると「アベノミクス」など自民党政権の経済政策の功績を認めることになるからである。

のみならず、株高による日本経済の成長発展と国民生活の向上は、共産党が党規約2条で理論的基礎とする「科学的社会主義(マルクス・レーニン主義)」としてのマルクス「資本論」の<窮乏化革命論>からすれば、社会主義革命を目指す共産党にとって明らかに不利益だからである。

今回の画期的な日経平均株価の史上最高値は、その巨大な経済波及効果からして、日本経済再生の起爆剤になり得るものとして歓迎すべきである。