アルコール大国ニッポン:先進国で公共の場で飲酒が許される数少ない国

アルコール大国ニッポン、実はアルコールの社会的許容度が世界で最も緩い国の一つが日本とされます。多くの皆さんは祭りで飲む日本酒、BBQやビーチで飲むビール、路上座りしてストロングハイを飲む若者など公共の場で飲酒をするシーンはよく見かけると思います。ですが、先進国において公共の場で飲酒が許されている国は非常に少ないのが現状です。

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カナダもコロナまでは公共の場で飲酒していれば捕まっていたのですが、コロナ禍の若者の気持ちを晴らすために一部の公園で飲酒が暫定的に解禁となりました。ちなみにカナダはたしなむ程度の飲酒後の運転はOKで、血中アルコール濃度の具合次第です。その人の体格など因子がありますが、食事に伴うビールやワインが概ね1杯ぐらいなら大丈夫です。一方のアメリカは非常に厳しく、一晩お泊りした方も割といました。ちなみにカナダは日本に次いで世界でも緩い国の一つとされます。

さて、日本人がアルコールとの接点が多いのは祭事、慶事、弔事などで飲酒が伴うことが多いことは一つあるでしょう。正月のお屠蘇、酒粕のアルコール分が残った甘酒もあります。葬儀の通夜では日本酒を飲みかわし、故人を偲びます。結婚式ではアルコールで盛り上がり、知らないおじさんが酔いに任せて突然マイクを握って挨拶をします。カラオケで盛り上がるのにアルコールは重要な媒介。一昔前は「日本の仕事は夕方5時から」とされ、サラリーマンが居酒屋で口角を飛ばしながら会社と上司ネタをつまみに盛り上がりました。

私が時代の変化を感じたのは90年代以降の入社組の人が増えてきたころからです。年齢にして今の50歳から下の世代でしょうか?私のように建設会社にいた者は浴びるように酒を飲んでいたのですが、その頃から若手を誘っても来なくなったのです。せいぜい頑張って一次会まで。参加してもおとなしく、先輩方のおだに飲まれることもなく所在なく小さくしていて「そろそろ会計!」と言ったとたん、元気になり、「ではお先に」と脱兎のごとく帰っていく若手を見て、「もう強制的に誘ってはいけないのだな」と感じた次第です。

それでもアルコールが日本文化に根付いた部分もあり、時代時代で特定のアルコールが話題になりました。焼酎、特に黒霧島が出た時はブームだったし、ウィスキーはドラマが火付けでした。ビールはクラフトという新しい切り口が話題になりました。日本酒ブームは安定的だと思います。ストロング酎ハイは今から10年ぐらい前に「パッと飲んでパッと酔う」が流行ったこともあります。一缶130円程度と無茶苦茶安いこともコンビニの前や公園で座り飲みする若者たちの背景となりました。私も昔、若い連中から「今日は飲もうよ!」と言われ居酒屋に行くのかと思い、「どこに行く?」と聞けば「〇〇公園で朝まで飲み会!」でマジか、と思い、「ご、ご、ごめん、今日は用事があるのを忘れていた」と逃げ帰ったこともあります。

が、ここにきてアルコールが「いけてない」のは明白なトレンドであります。先日のブログでなぜ若い人は酒を飲まないのか、という問いに「酔いたくないから」と述べました。多分、これが図星だろうと確信しています。背景はいろいろやりたいことがあるに尽きるのです。ところが酒に酔うとその日の夜はほぼ無為になってしまうことも多く、それを若い世代は嫌うのです。

私の世代が麻雀が流行らなくなったちょうど切り替わりの時期でした。学生時代、私の大学の周りからは雀荘がどんどん消えており、私がつるんでいたクラス仲間は「暇だよね、タバコでモクモクする部屋で、出前で丼物を頼んで朝までジャラジャラやるんだからね」と非常に醒めた目線で雀荘に通う人を見ていました。もっと言うなら「早稲田って未だに麻雀やるらしいぜ、いけてないよな」とひたすら早稲田の文化的遅れ、いや質実剛健のそのスタイルが時代にマッチしていないと話題にしたものです。

その後、ゴルフブームになった時、私は下手だったこともあるのですが、「このブームは絶対に長続きしない」と断言していました。ちなみに私は当時、法人会員価格一次売り出し日本最高額の8千万円のゴルフ場の工事、完成後の管理をしていました。会員権の販売管理も私がしました。なぜ、流行らないと断言できたかと言えば多くの社内の管理職が月2-3回、一回2万円程度の出費でゴルフ場に通い、高価なクラブの品評会に「サラリーマン、ゴルフのお金はOBショット」と詠んだのです。

こう見るとマージャンもゴルフも酒もタイパが悪い、これが共通点です。飲み会で夜更けまでだらだら飲む時代ではなくなったのかもしれません。ですが、今回、銀座の並木通りで食事をした時、夜の街に繰り出す車が並んでおり、きれいなお姉さまが同伴でご出勤されるのを見るにつけ、昭和だなぁ、と思うのであります。

若者にとっては現代社会は楽しいことが無限に広がります。そして10人いれば10人とも違う趣味があり、車座になってボロアパートで一升瓶を前に語り明かすなどというシーンはあまりにも遠い話となったのです。

国税庁の調査によると日本人のアルコール摂取量は2001年の95.4リットルから2021年に74.3リットルになったとあります。グラフを見ても長期下降トレンドを描いており、これは今後も続くのだろうと思います。

最近は私もあまり飲めなくなったのですが、飲まなくても全然大丈夫なのは寝る直前までやりたいことがあるということなのでしょう。たまにちらっとたしなめれば良しで酩酊するほど飲むことはもう一生なさそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月25日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。