ロジハラと逆ハラ。正論の使い方と注意点

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ロジカルハラスメントの略語「ロジハラ」という言葉を耳にすることが増えました。筆者は、昨今のロジハラブームに違和感を覚えています。

言葉にはステキな秘密が詰まっている

「ロジハラ」という言葉を耳にすることが増えました。正論で相手を追い詰めることを指します。上司がミスをした部下に対して、「なんでミスしたの? ちゃんと説明して!」と迫ることはロジハラにあたるというわけです。上司が部下の顔色を見なければいけない「大変な時代」になりました。

正論をぶつけて優位に立とうとすることが「ロジハラ」だと言われていますが、上司と部下は、仕事の責任も範囲も異なります。職責や役務は、上司ではなく会社が決定するものです。職責が上位であれば指導が強くなることは当然ですが、これを問題視されては、上司は職務を全うできません。

部下に責任があったとしても、正論を言って、本音で指導することができなくなるからです。部下が「上司に強い指導を受けてショックを受けました。これロジハラです」と主張した時点で、部下が上司を追い詰めていることになってしまうのです。名づけるなら、「逆ハラ」(部下が上司を追い詰める)ということでしょうか。

これでは、円滑なコミュニケーションが取れなくなってしまいます。本当にバカバカしいと言わざるを得ません。次に、正論を振りかざす理由について考えてみましょう。

正論を振りかざす理由とは

「正論を振りかざす人はプライドが高く、自分の意見や考えを押し付ける」というものがあります。相手を下に見ていることが多く、上から自分の意見を押し付けることが好ましくないというのです。

上司が自分の意見や考えを正しいと思うことは当然でしょう。自分が言っていることが正しいと思うからこそ、部下に分かってもらいたいという心理で言っているのです。

組織であれば、部下は上司に従うのが当然です。このように考えれば、世の中で言われているロジハラの多くが、実はなんら問題のない行為であることが分かります。

それでは正論が好ましくない場面とはどのような場面を指すのでしょうか。ここでは正論の使い方について考えてみましょう。

正論を振りかざす際に注意すべきこと

私がある会社の役員をしていたときのエピソードになります。営業部の部長がメンバーを鼓舞するために、受注が決まる度に、細かい数値達成の状況や、営業努力をねぎらうメールを全社に送信していました。

しかし、会社には営業部門以外のさまざまな部署が存在します。別部門(システム部)の部長が「そのような送信は部内にとどめてほしい。部門の役割は異なるし、全社メールは自部門の成果を披露するものではない」と忠告してきたのです。

しかし、その内容に対してすかさず社長が「あなたの主張は正論だと思います。ただし表現としては最低です。あなたは上司が部下をねぎらうための行動をどのように思っているのですか」とたしなめました。社長の対応は絶妙だったと思います。

もし、あなたが面倒なことに巻き込まれたくないのなら、状況をシミュレーションする必要があります。それが正論でも、好ましくない結果になりそうなら、別の策が必要になるということです。注意深くなることでロジハラブームに流されることもなくなるはずです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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