売れない理由を超えた「マーケティング戦略」が顧客をつかむ

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激変するビジネス環境下で、「売れない問題」が発生したら、どう対応するのでしょうか。実践マーケターが、多くの具体例から解き明かします。

売れない問題 解決の公式」(理央周著)日経BP 日本経済新聞出版

買ってくれない理由

著者は、売れない問題に直面した際には、なぜ売れないのかではなく「なぜ顧客が買ってくれないのか」という視点で状況を見てみることが大切だと言います。

「私たちは頑張って売ろうとするあまり、『売り方』ばかりを考えてしまいがちです。たとえば、ネットショップだけでは売り上げが上がらないから、知ってもらうためにアパレルメーカーの店頭で期間限定のPOPアップショップをやってみる、といった具合です」(著者)

「それはそれで間違いではないのですが、 商品構成を見直し(何を 少し高めのパールをラインアップに加えたり、ターゲット層(誰に)を見直して、若めの層にアピールするなどして、『売り方』以外にも目を向けて『売れない問題』を解析する必要があります」(同)

成果を出している会社や人は、何かしらの戦略に沿った計画を立てて働いているものです。しかし、途中経過をチェックすることが疎かになりがちです。

「計画段階で立てた戦略の中身は、仮説に過ぎません。ですから100%計画通りにうまくいくわけがない、と認識しておくべきです。私も30年以上マーケティングに携わっていますが、当初の計画通りに進んだことはほとんどありません」(著者)

「戦略や計画は、立案した通りに実行することを目指すのではなく、当初の仮説のどこが正しいのか、どこが違うのかを確かめながら改善を繰り返して、 できる限り理想やゴールに近づいていくためのものなのです」(同)

マーケの視点で問題を考える

最近、ビジネス書が売れなくなったと聞きます。売れなくなった理由をマーケティングの視点で考えてみます。まず、本の読み方が変化しました。ビジネスにとって重要なのは、情報の鮮度ですが、あらゆる情報が手に入りやすくなりました。

この問題をクリアしない限り、ビジネス書の役割は終わったと考えることもできます。雑な作りの本が多く、読み慣れてくると中身の薄さにびっくりすることもあります。自己啓発書がそのたぐいです。簡単に幸運を引き寄せるほど人生は甘くはありません。

先日、自己啓発書を得意とする「出版プロデューサー」のM氏に会いました。本人は、一流を標榜していますがリスキーだと感じました。「出版プロデューサー」の仕事は、著者と出版社のマッチングです。M氏は編集者あがりですが、決してネットワークが豊富とはいえません。

ところが、出版希望者は大勢いますから、情弱な人に甘い言葉をかけて搾取する人が増えてきます。選択する側が賢くならなければいけません。私がいずれセミナーで話したい内容は、「出版業界をおおっぴらにした話」かもしれません。

さて、本日、紹介した一冊はマーケティングの基礎から中級までを学ぶことができる良著です。マーケティングの視点で考えれば、世の中の矛盾がいろいろと見えてきます。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)