AI時代の集中力とは?脳のポテンシャルを解放する4つの鍵

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現代は、「集中力を発揮できる人がすべてを手に入れる時代」と言っても過言ではありません。

たとえば、5分刻みのスケジュールで週100時間働くというイーロン・マスクをはじめとして、現代社会を牽引する成功者たちには、類稀なる集中力を示すエピソードに事欠きません。

集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法(樺沢紫苑著)SBクリエイティブ

集中力を高める鍵とは

スポーツの世界では「ゾーン」、心理学の世界では「フロー」と呼ばれる「究極の集中状態」に入ると、圧倒的なパフォーマンスを発揮できるだけでなく、そのプロセスで多幸感に包まれるのです。成功と幸福を同時に引き寄せる力。それこそが「集中力」だと、樺沢さんは言います。

「現代は、テクノロジーの進歩によって高い生産性を実現できるようになった一方で、その『副作用』として集中力を手に入れることが難しくなりました。SNSの通知、マルチタスク地獄、睡眠不足で霧がかった思考……。脳のキャパシティを超える情報やタスク、過度の刺激がデバイスからもたらされる今、私たちの集中力は常に奪われているのです」(樺沢さん)

「現代病とも言えるデジタルデバイスの乱用や情報過多による集中力の低下を防ぐための、科学的根拠に基づいた超実践的アドバイスを提供しましょう。『「ゾーン』に入る方法を身につけることで、日常のストレスや悩みから解放され、あなたの脳の高いポテンシャルを最大限発揮し続けることが可能になります」(同)

樺沢さんは、集中力を高める4つのポイントがあると言います。どのようなものでしょうか?

「1つ目はインプットの技術です。脳機能『ワーキングメモリ』の活用や、タイムマネジメント、効率的な学習方法などが挙げられます。2つ目は、仕事のスピードと質を高めるための出力の技術です。時間管理術やTO DOリストの作成法など、即効で生産性を向上させることで集中力が高まります」(樺沢さん)

「3つ目は 自己洞察力の鍛え方です。ポジティブ思考の習慣や、雑念の排除、ミスの防止方法など、脳の最高機能を引き出すための内省のテクニックです。4つ目は、脳の効率的な『整理』方法です。感情の管理や、成功と失敗の整理術、睡眠法など、脳のコンディションを最適化して、ピークパフォーマンスを維持できるためのテクニックです」(同)

集中力は伸ばすことができる

以前の樺沢さんには集中力が低かった時期があったと言います。

「30年前の私(28歳)は、精神科医として総合病院に勤務していました。 仕事がものすごく忙しい。にもかかわらず、夜10時に仕事が終わったら、たいてい飲みに行くのです。睡眠時間は6時間を切る日も多かった。精神的にも余裕がなく、よく看護師さんとも口論をしていました。今考えると、完全に脳疲労です」(樺沢さん)

「2004年から3年間、米国シカゴのイリノイ大学に留学しました(38歳)。アメリカ人の『自分らしく生きる』という生き方に触発され、『自分のやりたいことをやろう!』と決めました。日本に帰国後、勤務医はやめ、独立起業。 樺沢心理学研究所を設立し、『メンタル疾患の予防』をビジョンに掲げ、情報発信と執筆で生計を立てていく決断をしました」(同)

当初は、1人社長(社員なし)でした。パフォーマンスが、そのまま収入に影響を及ぼします。集中力を高める、効率的に仕事ができれば収入が増やせる!と気付いたのです。その後、樺沢さんがはじめたのは「整える」ことでした。

いまは、飛ぶ鳥を落とす勢いの樺沢さんにも軌道に乗せるまでの苦労があったということです。多くの人は、いきなり大きな果実を得ようとしますが簡単ではありません。小さな習慣を継続することである程度の高みに上ることはできます。それを支えるのは集中力なのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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