日本経済を衰退させた「部屋の中の象」はそこにいる

11年にわたる日銀の社会実験は、それなりに意味のある反証を出した。それは日本経済の衰退した原因は金融政策ではなかったということだ。では何が原因なのか。その犯人は、だれでも知っている「部屋の中の象」かもしれない。

Forbesより

高齢化という「部屋の中の象」

デフレは衰退の結果であって原因ではない。その大きな原因は高齢化である。それは単に労働人口が減るからではない。日本の高齢者は将来世代から巨額の「仕送り」を受けており、その生涯所得には1億円以上の差がある。

このため貯蓄率は年齢とともに上がり、60歳以上が貯蓄の71%を保有し、金融資産保有額は死ぬとき最大になる。2000兆円の家計金融資産のうち、1400兆円が高齢者の貯蓄として死蔵されて国債の購入に回り、それが過剰な老人福祉の原資となる悪循環である。

小川製作所

これは年金などの現役世代からの所得移転が消費より多いことを示している。つまり高齢者は使い切れないほどの仕送りを子や孫の世代から受けているのだ。この過剰な老人福祉が、貯蓄過剰という日本経済の最大の病の原因である。

過剰な老人福祉を削減するとき

これを解決する方法としていちばん簡単なのは、後期高齢者医療の9割引のような異常な老人割引をやめることだが、次に必要なのは資産をもつ高齢者への社会保障給付の削減である。

現状では厚生年金受給者のほとんど(年収200万円以下)が医療費9割引の対象になるが、これはフローの所得しかみていない。高齢者の平均貯蓄額は約1500万円もあるのだ。

国保には固定資産税に応じて料率を上げる「資産割」という制度があるが、むしろ自宅のある高齢者は高額療養費制度から除外するなど、資産家の受給削減が必要だ。これは持ち家があると生活保護を受けられないのと同じで、審査も容易である。

資産課税も強化すべきだが、これはへたにやると資産逃避をまねくので、社会保障の給付削減でやるべきだ。たとえば貯蓄が1億円ある人に年金を支給する必要はないので、クローバックつきの最低保障年金という案もある。

社会保障は単なる所得再分配の問題ではなく、日本経済を衰退させた元凶だが、政治家は(維新を除いて)見て見ないふりをしている。老人福祉を減らして異常な社会保障負担を是正することは、現役世代の生産性を上げるためにも重要な政策である。