内閣府の再エネタスクフォースは利益誘導を繰り返す反社集団

池田 信夫

自然エネルギー財団(大林ミカ他)は昨年10月11日に、私の次の3つのX投稿が名誉毀損だとして東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こした。

最初の記事の引用している記事の画像がこれだ。発電量が現在の2.5倍になるというのは、環境省のコストを無視した空想である。この「再エネ100%」は可能なのか。

100%どころかエネルギー基本計画の「2030年に36~38%」も不可能だ、と大林氏はインタビューで認めている

固定価格買い取り制度(FIT)頼みでそれ以外の有効な施策を打つことができていない日本では、太陽光発電の新規導入量はむしろ減少しつつある。大林氏はそもそも36~38%という目標も世界的に見ると低すぎるが、現状のままではそれさえ実現できないと指摘する。

自分でも信じていない目標をテレビで「実現できる」と言って投資を呼び込む。これが再エネ詐欺でなくて何なのか。

内閣府の所管外の役所に殴り込む再エネTF

そもそも再エネタスクフォース(大林・高橋洋・川本明・八田達夫)には根拠法もなく、河野太郎氏が内閣府の大臣だったとき集めた「私兵」で、4人のうち2人(大林・高橋)は自然エネ財団という利害関係者である。こんな有識者会議は霞が関にも類を見ない。

彼らは内閣府の所管外のエネ庁の有識者会議などに殴り込み、支離滅裂な利益誘導を繰り返した。特に2021年の総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 のエピソードは有名である。再エネTFは非化石証書について提言にこう書いた。

現状では「非化石」価値にプラスの価格をつけて取引する一方で、化石燃料については、なんらペナルティ(炭素排出等に対するマイナスの価値)が課せられていないため、積極的に普及すべき再生可能エネルギーの利用が、逆に割高になってしまうという弊害が生まれている。

環境価値を取引するこうした仕組みは、カーボンプライシングなど、外部化された炭素排出コストを内部化させる制度があってこそ成り立つものである。

これはまったく逆で、非化石価値は電力利用者が再エネ業者に払うプレミアムだから、まさにカーボンプライシングそのものだ。これに地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾氏が激怒。

総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第48回)
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第48回) を配信いたします。 トラブルが起きた際に以下ページより予備配信のページが視聴いただけます。 

非化石価値取引市場で再エネのコストが上がると書いてますが、投資する方にお金が行くようになるわけでありまして、これは炭素税とか排出量取引制度でも一緒でございますので、認識が完全に間違ってると思います。

このような最低限の知識さえも理解も有さないような委員で構成されたような組織が存在していること自体が、ちょっとどうかと思います。行政改革の対象じゃないかと申し上げておきます。

再エネTFがこのような利益誘導を繰り返したおかげで、自然エネルギー財団のスポンサーである再エネ業者は大もうけし、太陽光パネルの70%を生産した中国メーカーも大もうけした

秋本真利議員が収賄で逮捕された洋上風力についても、再エネTFは贈賄側の日本風力開発の提言を取り上げ、ルール変更を後押しした。みなし公務員である再エネTFのメンバーに検察の捜査が及んでもおかしくない。

こんな反社会的集団が大きな力をもつ原因は、その後ろ盾になっている河野太郎氏の政治力である。これを放置していると誰も火力や原子力に投資しなくなってエネルギー供給はボロボロになり、製造業は海外逃避し、日本経済は終わってしまう。