知識の習得と読書術の進化、次は深い理解へ!

NiseriN/iStock

私の事務所には、日々、献本の新刊が送られてきます。多くの本は、読了後にセミナー参加者や希望者に無償で配布しています。「読書術」の分野は私自身の関心領域でもあるので手元に置いているものもあります。

リモートワークが主流になった現在、読書人口が増えたという話をよく聞きます。「たくさんの本を読みたい」「たくさんの情報をインプットしたい」と、悩んでいるビジネスパーソンが増えているのです。

読書本の形態は5つに分類可能

ここ数十年を見ると、読書術に関する膨大な数の出版物が刊行されています。作家、ジャーナリストをはじめ、脳の専門家、速読術など、それぞれの読書術のプロが読書術を解説しているのです。しかし、読者からすればどの方法論が役立つのかわからないという状況なのでしょう。

私は読書の専門家が大切だと思っているポイントをまとめ、本を読む普遍的なノウハウを抽出し整理しようと考えました。そこで読書術関連の本の簡易分析をしてみました。一定程度の傾向を導き出すことを目的としています。

読書術の本はいくつかの視点で分けることが可能です。私は5分類に整理してみました。もちろん、細分化することも可能ですが、最初は大きなくくりにしたほうがわかりやすいでしょう。次の5つに分類できると考えました。

  1. 読書のスキルやテクニックを向上させるもの
  2. 読書の効果やメリットを紹介するもの
  3. 読書の速度や効率を高めるもの
  4. 読書の内容や理解度を深めるもの
  5. 読書の習慣や環境に焦点を当てたもの

読書術に関するこれらの本で共通しているのは、「読書は人生や仕事に役立つ」というメッセージです。どの本も実践的で具体的なアドバイスや例を多く用いており、読了後に読者が実践しやすいように構成されています。

著者自身に豊富なバックボーンと豊かな読書経験や知識がある点も同じくですが、それは読書術には専門性の高いスキルが必要になるからです。もし著者が、読者に信頼感や尊敬感を与えられる専門スキルを持ち得なければ著者としては成立しないでしょう。

私の考える読書術のベスト3は

読書術の著者たちは、異なる分野や職業に従事しているため、その専門性や経験が読書術に反映されています。それぞれ違う立場において読書をとらえながら、それぞれの立場で読書の目的や効果を強調しているので、価値観や人生経験が読書術に反映されています。

この3冊を読めば、読書術の潮流は理解できると思います。なお、私の本も、読者の皆さんの手本となることを期待していますので、真摯な評価をお願いいたします。

1位.『読書の技法』(佐藤優著/東洋経済新報社)

すべてのビジネスパーソンが読むべき1冊。たくさん読み、より効果を出す読書方法が述べられており、引用も多く、参考資料が豊富。熟読と速読の双方について解説しているが、アウトプット重視。読書術の最高峰といっても過言ではない。

2位.『知識を操る超読書術』(メンタリストDaiGo著/かんき出版)

読書術の入門編として理想的な1冊。技法よりも読書に向かう姿勢が役立つ。得たい知識が記載される箇所を優先して読むスキミング読書を推奨。じつは、スキミングは私も取り入れている読み方。量をこなせばスキミング力はアップし読書力も必ずアップする。

3位.『読書脳』(樺沢紫苑著/サンマーク出版)

ほかの作品を読む前に本書を読むと学びが深くなる。本を読むことの大切さを理解し、読んだら忘れないテクニックが書かれている。読書が苦手な人でも、どのようなステップを踏めば、読書脳を手に入れることができるか、についても詳しく語られている。

なお、限られた条件下で導き出された結論であり、一般的な結論ではないことを付記しておきます。速読の系譜について先行研究を交えながら検討する必要があります。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)