川勝知事は「不適切にもほどがある」:職業差別発言を反省していないのでは?

静岡県知事の川勝平太氏が4月1日、同県の新規採用職員への訓示で「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」と話したことが「職業差別」的だとして非難を浴びている。川勝氏は4月3日、県庁で記者会見を行い「発言について「心からお詫び申し上げる」と謝罪はしたものの「(発言が)不適切だとは思っていなかった」との見解を繰り返し、撤回はしないとした。

川勝知事 静岡県HPより

また「言葉のあや、不十分な表現が、針小棒大な形で批判に結びついてっていう面もあるので」「傷つけたことについては、私の心も傷ついていますので、申し訳ないと思っています」との言葉もあった。川勝氏は、自身の発言が「針小棒大」(些細な物事を、おおげさに誇張して言うこと)な形で批判されたとしている。謝罪はしているものの、川勝氏は真の意味で、自身の発言に問題があったとは今でも思っていないのではないか。

川勝氏はこれまでも「不適切発言」(例え2021年11月、御殿場市について、あちらはコシヒカリしかないなどと発言)をしており、その際には謝罪し、発言を撤回している。しかし、前述したように、今回は謝罪はしたものの、発言は撤回していないのである。

川勝氏の「皆様方に全文を読んでいただきたい。音声も聞いてください。お聞きいただければ分かるという気持ちがございまして、言い換えると不適切だとは思ってなかったと。 しかし、一部だけをとれば、差別発言とも取られかねないところがあることは、その通りなので、そこで傷つかれてるのは不本意ですから、申し訳ないという気持ちがございます」との会見の言葉からも、発言を切り取られてマスコミ等から「針小棒大」に非難されたと思っていることが窺える。

川勝氏は新規職員への訓示で「自分が正しいと思う信念を貫くということが大切です。そして、そのためにはやっぱり勉強しないといけません」「それからやっぱり感性も豊かにしなくちゃいけない。美しい絵を見たり、いい音楽を聴いたり、映画を見たり、演劇を見たりしたときに、感動する心というものがあると望ましい」と良いことを述べていることも確かである。

しかし「毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいは物を作ったりとかということと違ってですね、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たちです。ですからそれを磨く必要がありますね」との川勝氏の発言は、どこをどう見ても、県庁職員は「知性が高く」、農業や酪農に従事する人々はそうではないと主張しているようにしか聞こえない。