明白な相場の質の変化:ハイテクから資金が流出した背景

自民党裏金事件の処分は何のサプライズもなく、ほぼシナリオ通りに終わりました。党紀委員会の面々、偉そうだけど、実は自分たちはほぼ何もすることなく、出来合いのシナリオに「御意!」というだけ。下地はもちろん岸田首相が練ったもの。岸田氏は重要スケジュールの前に面倒なことを片付けるのが得意で今回も訪米前に「しっかり」お仕事を片付けました。処罰がなかった首相の「国民と党員に(責任を)判断してもらう」の発言を切り取って「解散総選挙を示しているのでは」というのは飛躍しすぎだと思います。今は自民党を再生させるための重要な時期で選挙遊びをやっている場合ではないでしょう。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

株式市場も揺れています!

台湾の地震についてはお見舞い申し上げます。知り合いの台湾人にもパタパタと見舞い電話やテキストを送り、台湾在住の方からは様々な動画や写真を送っていただきました。台湾と日本は手と手を取り合わねばならないです。一方、株式市場も日本はアメリカは二人三脚なのでアメリカがこければ日本も当然こけます。振り回された最大の理由はアメリカの当局からの相次ぐ「金利、君たちの期待通りには下がらんよ」という声に市場はビビり、もろくも崩れ去ったのでありました。

市場の動向を論理的に片付けるのはもはや無意味なことで本日発表の3月度雇用統計は事前予想の20万人増をはるかに上回る30.3万人増。これを囃して株価は上昇。でもちょっとおかしくない?前日は金利が下がらないといって株価が下げたのに今日は雇用が良い⇒景気は大丈夫⇒株高。辻褄が合いません。実はこのテキトーな市場の雰囲気はコロナの頃から顕著になっており、ほとんど場の雰囲気だけになっています。今日は何が何でも上昇が予想されていました。なぜなら4日で1200㌦ぐらい下げ、本当にダブルトップ形成の株価チャートになってしまったのですが自律反発のタイミングを探っていたわけです。

そんないい加減な株式市場ですが、クンクンと匂いを嗅げば明白な相場の質の変化が見て取れます。すなわち、ハイテクから資源株へのシフトです。原油高と金(ゴールド)の連日の史上最高値で資源関連も動意づいています。ハイテクから資金が流出したのは下がらない金利と共に冴えないアップルが最大の理由とみます。またエヌビディアも買われすぎでやむを得ず、ハイテクで元気があるのはダウ指数構成銘柄になったアマゾンと知らぬ間に高値になったメタぐらいでしょうか。移り気な市場だけに深追いもできないので「小すくい」で着実に利確が有利というのが私の見立てであります。

Damien VERRIER/iStock

バイデン氏とネタニヤフ氏、どうする盟主の関係

バイデン氏がネタニヤフ、イスラエル首相と4日、電話会談しました。きっかけはガザで人道支援をしていたアメリカ人隊員7人がイスラエルの攻撃で死亡したことですが、バイデン氏はほぼ堪忍袋の緒が切れたとみています。電話会談も相当緊張した状態だったとされますが、ネタニヤフ氏は隊長をすげ替える対応で済ませるのでしょうか?バイデン氏は即時停戦を求めており、対イスラエルの政策変更をちらつかせています。

一方のネタニヤフ氏は国内事情から引くに引けない状態です。ラファへの地上侵攻を明白に宣言している以上、ネタニヤフ氏の性格からすればやる気なのだと思います。氏としてはやり切った段階で判断をしてほしいという主張だと思いますが、人道的問題のみならず、イランへの刺激が気になるところで今の状況は一歩間違えばとんでもないことになりかねません。また現状、イスラエルに喜んで手を貸す国はないに等しく、孤高の戦いが招く悲劇のシナリオもないとは言えません。

一方、アメリカとしてはユダヤ人との関係は切れないわけで、批判の矛先をネタニヤフ政権に絞り込むようかじ取りをしないとバイデン氏は大統領選でしっぺ返しを食うことになります。トランプ氏は外交に興味はありませんが、イスラエルだけは大事にする公算が高く、今、その関係を壊そうとするならトランプ氏を利する可能性が出てきます。トランプ氏は選挙戦の間、あまりにもタッチーな問題なのであまり触れないようにするとみています。私の最大の懸念は反イスラエルの思想を持つ原理主義的活動家が虎視眈々とチャンスを狙っている可能性であり、先が見通せないリスクはあると思います。

なぜなくならない、業界不祥事

日経が「〈NEO-COMPANY〉上司の顔色見て仕事 座談会、不正の現場と再生の道筋」という記事を上げ、日本で頻繁に起きる業界不祥事を取り上げています。記事に結論はないのですが、なぜ、起きる不祥事は私から見ると極めてシンプルです。日本の集団主義と遠慮と強制同意やむなしとする姿勢だと考えています。表と裏とも言えます。かつて「仕事は5時から始まる」と言われたのは本音=裏話は酒がないとできないオフレコ話とも言えます。ただ、最近は酒を飲んで本音を語る機会が減り、ストレスを家に持ち帰るか、自分の趣味にぶつけるようなスタイルに変わってきています。

私にはその現状は一種の二重人格の形成だと思うのです。本音と建て前そのものです。会社の業務部分、つまりハードの部分はもちろん社外秘ですが、会社の雰囲気や実態などソフトの部分も「人に言えず」なのでしょう。むしろ女子社員のほうが学校時代からの仲良しに「ちょっと聞いてよー!」といって長電話や夕飯で喋りまくり、ストレス発散されているように見えます。

私は稲盛和夫氏のアメーバー型組織作りが以前から好きではないのは悪の温床にもなりかねない表裏一体の考え方になりかねないからです。本当は正義感を持っている人材がいても「お前、連帯責任を取らされるだろう。ここは頭を冷やせ」とたしなめられるわけです。本来であれば社員個々がもつ能力を引き出せる社内環境づくりが大事で、平等主義的に会議にずらずらと頭数だけ揃えるのではなく、強いリーダーシップと社員の才能を引き出せる組織であるべきです。ただ、それをすると7割の社員が振り落とされてしまい、つまらない思いをしなくてはいけません。これが構造改革の最も難しいところでもあります。

後記
以前から行きたいと思っていた「初音ミク」のコンサートの北米ツアーがバンクーバーでスタートとなり、10代、20代のファンに交じって伺わせて頂きました。今年の夏のアニメ書籍販売事業の主導になれるかを見たかったのもあります。それにしても不思議な光景だと思ったのは日本語らしき歌でも7000人の会場は大盛り上がり。はて北米で日本語の歌でこんなに盛り上がれる芸能人、いたかな?と思います。曲が短く一曲3分半ぐらい。今の若者は長い歌はダメ、イントロも短め。テンポよくどんどんやって2時間でかっちり終わる、タイパなんですかねぇ?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月6日の記事より転載させていただきました。