私の知人である村井氏がドイツに2週間ほど滞在していた時のことを書いたブログ記事。
日本よりはるかに自転車が利用されていることがよく分かる。何といってもうらやましいのが、自転車をそのまま電車に積めること。
自転車が積める列車にはその旨の表記があって、輪行袋とかに入れなくても積めるそうなのである。
日本でもごく一部にはなくはない。私の住んでいる近所だと関東鉄道常総線の水海道駅から太田郷駅間、竜ヶ崎線は自転車の持ち込みOKである。
とはいえ、日常的に、どこででも使えるものでなければ意味がないと思うわけだ。
日常的に自転車を電車の中に運ぶことができれば、非常に便利である。ママチャリでもその恩恵はなくはないのだが、スポーツ自転車を使えば更に有用だと思う。スポーツ自転車はママチャリとは別の意味で便利なものである。
ロードバイクといった自転車であれば、自動車に近い行動半径を移動することができる。目安として自動車の移動時間の2倍かければ同じ距離を移動できるわけだ。
人力で何十キロも移動できるというのがロードバイクといった自転車の強み。これがあるからウーバーイーツでもロードバイクが使われている。これママチャリではかなり厳しいっていうか、多分無理。自転車であることは一緒だが別の乗り物なのである。
パークアンドライドというシステムがある。最寄り駅まで車で行って、駅で駐車して電車で目的地に向かうというシステムだ。
パークアンドライドは、アメリカ合衆国で普及したシステムで、このことで都心部の交通環境の悪化を防いでいるほか交通量自体が減少するため、渋滞の緩和だけではなく、排気ガスによる大気汚染の軽減、二酸化炭素排出量の削減といった効果も期待されている。
Wikipediaによるとこのようなメリットがあると書かれてる。
自動車ではなく、ロードバイクを使うようにすれば駐車場がいらない。また、目的地の駅からまた行動半径数十キロ行動することができる。
こうなると、自転車の活用方法が根本的に変わってくるだろう。今でも自転車を袋に入れて輪行すればいいわけなのだが、やっぱり面倒だしそこまでするのはごく一部の愛好家だけになってくる。
普通に自転車を電車に積めれば、自転車が便利な交通手段に変貌するはずだ。
趣味ではなく日常の足としてもっと普及が期待できるだろう。今は、ロードバイクをその辺に止めておくと盗難にあうからということで、日常の足として余り使われていない。
しかし、足として使うようになれば日常品としてのロードバイクがその辺でたくさん見かけるようになる可能性が高い。
あんなに速い乗り物が道路を走っているのが問題だといわれるが、ロードバイクは速いことに意味がある。人力だけであんなに速く移動できるからこそ、内燃機関を使った乗り物を代替できる可能性があるわけだ。
今はロードバイクはあくまで趣味の乗り物であるが、もっと実用で使われるようになるだろう。そうすれば省資源だし、CO2の削減にもつながる。
そして実際に現地で自転車を取り巻く環境を観察してみると、想像以上に自転車にとって恵まれた環境が整っていることを知り、とても感動してしまいました。
御存知の通り、ヨーロッパの国々は古くからの町並みも大切にしているので、基本的に昔からある道路などがそのまま利用されています。
昔からある道路は狭かったりするので、なかなか自転車を優先させたような整備がされないのが実際のところだと思います。例えば日本だと、自動車優先で自転車はないがしろにされているのが実情です。
しかし、ドイツではそのような狭い道路でも自転車の利用も前提にされていて、自転車のための走行区分などがしっかりと整備がされており、自転車にとって非常に恵まれた環境になっているのです。
自転車も自動車と同じく一般市民の移動のための手段としてしっかりと認められていて、公共交通機関や道路環境など、けして自転車がないがしろにされているようなところがなく、ヨーロッパが何故「自転車先進国」と呼ばれるのか、その理由がとてもよく理解できるドイツ訪問でした。
実録!世界の都市の自転車事情レポートにはこのような記述があった。
日本の場合はそもそも歩行者でも自動車でもないスキマ的存在として、非常に曖昧な扱いになっている。
ハード面では物理的に安全に走る場所がないこと。
ソフト面においては法整備と、ドライバーの意識、自転車に乗る側の意識である。
法整備として最も重要なことは自転車を追い越す際の距離の明示である。
● オーストラリア 60km/h以下 1m 60km/h以上 1.5m
● カナダ 1m
● アメリカ 3フィート(約91cm)〜4フィート
● イギリス 1.5m
● アイルランド 1.5m
● フランス 1.5m
出典:【自転車】幅寄せ怖い!思いやり1.5メートル運動と自動車が自転車を追い越す際の安全な間隔
これまでは歩行者と同じく歩道を走るという認識となっていた。近年では自動車を車両として位置づけて扱っているが、日本の車道を自転車で走るのは危険すぎる。スレスレを抜いていく車が多いため、とくにトラックのような大きな車両が来ると恐ろしい。
欧米ではこのように明文化されていて、フランスなどでは間隔が取れない場合は、間隔が取れるところまで自転車の後ろを延々とついて走っているそうである。
次にドライバー側の意識である。
また、自動車としても自転車、とくにロードバイクは邪魔者として扱われていて、わざわざ幅寄せするといういやがらせもある。
私の経験でも幅寄せされたり、トラックに大きなクラクションを鳴らされてびっくりしてひっくり返りそうになったこともある。
ロードバイクは意外に転ぶ乗り物であることがもっと周知されてほしいものだ。
しかし、ビンディングペダルをしていると、不慣れな人であれば、ペダルからとっさに足がはずれず転ぶ可能性があることが周知されてほしいものだ。クラクションを鳴らしただけでひっくり返る可能性がある。私の場合は一般道を走る場合はビンディングペダルは使わないことにしている。
最後に自転車に乗る側の意識である。
車両なので左側通行でなのだが、これも全く守られていない。今の教育制度だと車の免許を取らない限り、正しい交通ルールを学ぶ機会が全くない。学校でも教えるべきである。
私の好きなYouTuberである、スーツ交通氏は自動車免許を取って即日返納するという動画を公開していたが、彼いわく歩行者として安全に移動するために免許をとることは役立ったと言っている。
これは本当にその通りだと思う。免許を取らない限り、自動車がどういう行動原理で動いているかわからないのである。
自転車を運転するために小学生のうちにでも教習を行うべきだと私は思う。
日本では自動車に比べると自転車は非常に小さい産業であるため、政治的な力を全くもっていない。
しかし、省エネルギー、CO2削減、健康寿命の延長の観点から考えるべき時期に来ているだろう。政治家の方には是非この問題に取り組んでもらいたいと思う次第である。
谷垣自民党総裁はロードバイク乗りだったが、彼が自民党総裁だったときには自民党が野党だったのは残念といえそうだ。彼が首相になっていたら自転車行政は大きく変わっていたかもしれないのだが・・・。
編集部より:この記事は玉村嘉隆氏のブログ「たまさんのちゃり日記」2022年11月7日の記事を転載させていただきました。