前回訪ねた龍厳淵の最寄り駅、入山瀬駅から電車に乗って北上して山梨県に入りました。
やってきたのは身延駅。JR身延線の中心駅です。身延は日蓮宗の総本山である身延山久遠(くおん)寺のある門前町として発展し、古くから多くの参拝客でにぎわってきました。
そんな門前町は今新たな風が吹き、アニメの聖地巡礼の地として賑わいを見せています。
それがゆるキャン△。女子高生たちがゆるゆるキャンプを楽しむストーリーが人気のこのアニメは、今第三シリーズが放映されていますが、ストーリーの舞台はここ身延町です。
駅前のお土産店にはゆるキャン△グッズがずらり。リンの愛車、ヤマハビーノも展示されています。
バスに乗り、身延山に着いてもそこかしこにゆるキャン△。身延町はゆるキャン△全推しで盛り上がっています。
さて、そんな身延町は久遠寺に咲くシダレザクラも有名です。一年中参拝客が絶えない久遠寺ですが特にこの時期は観光客でにぎわいます。乗用車は駐車場に入るのに一時間待ちでした。シダレザクラはソメイヨシノに比べて若干早く咲きます。この日が最後の見ごろということでやってきました。
いざ、お参りへ。これから受ける試練を前に身を引き締めながら山門をくぐります。
その試練というのがこれ。ものすごく長い&急な階段です。久遠寺はこの階段、278段の菩提梯(ぼだいてい)を昇った先にあります。
ご丁寧に執事による注意書きがなされるほどこの階段は急。これを迂回する坂もあるのですが今回は階段で登ってみることにします。
ブラマヨ小杉のようにひぃはぁを繰り返して何とか階上まで昇りきりました。もう膝ががくがくです。明日の筋肉痛が心配です。この石段を上ると悟りの悦びが開けるのだそうですがそんな余裕がありません。でも階段を昇った先で待っていた五重塔とシダレザクラのコラボレーションの美しさに疲れが少し癒されました。
久遠寺は明治8年に火災が起こり本堂も五重塔も焼失しました。昭和60年に本堂が、平成20年には五重塔が復元されて今の形になっています。シダレザクラと五重塔のコラボが見られるようになったのは最近のことのようです。
樹齢400年のシダレザクラは残念ながら見ごろを終えてしまっていました。
ですが仏殿前のシダレザクラはまだ見事に花を咲かせていました。ソメイヨシノに比べてやや小ぶりな花弁は控えめな印象。でも樹全体に目を移すとシダレザクラ独特の妖艶さに魅了されます。
今年は多少開花が遅れましたが、それでもこうして咲き誇る桜の姿を見ると今年度一年も頑張ろうって気持ちにさせてくれますね。桜の力は偉大です。
上りに比べ数倍の速さで菩提梯を下り、久遠寺を後にします。脇の通りには土産物店のほか宿坊が並びます。
通りの中ほどにある「いさご屋旅館」は築100年以上の歴史ある建物を80年ほどまえに富士宮市の浅間大社付近から身延に移築しました。木造3階建の建物は珍しく、遊郭の面影を残しています。
酸内で最も古い歴史を持つ宿坊の一つ、志摩坊。こちらも宿坊の裏にシダレザクラが咲いており見事でした。
川の向こうの小寺にも見事な桜。立ち入れないですが細い路地の奥の民家にも立派な桜が花を咲かせています。この時期の身延山は山全体が桜で彩られていました。
バスで身延駅まで戻り、小腹が空いたのでゆるキャン△グッズのあったお店へ。信玄餅アイス(370円)を頂きました。きな粉をまぶしたアイスに信玄餅が埋められています。興味本位で買いましたがきな粉の上品な味が口に広がって美味。中には黒蜜もたっぷりです。
身延の新名物「しまりんだんご」を探したんですが見つかりませんでした。志摩リンの髪型をイメージしたおだんご。もう売っていないんですかね?
初めての久遠寺訪問。インパクト強すぎな石段の先には絶景が待っていました。次に来たときは今回いけなかった奥の院もロープウェイに乗って訪ねてみたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年4月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。