賃上げと財政出動と解散と

令和6年4月2日経済財政諮問会議で発言する岸田首相
首相官邸HPより

今年度の賃上げ後の動向

今年の春闘は、上場企業を皮切りにバブル期を超える勢いで賃上げが進んでいる。

現在は、中小企業がどの程度追従出来るか? が目下の関心事だ。一方で、実質賃金が上がらないとの報道が目立つ。もっとも、この数字は2月までの速報値で、インフレ率も含め、春闘の数字は反映されていない。

NHKによれば、中小企業の回答状況は概ね、高い数字を示しているが、やはり大企業には及ばない。

この状況下で労働者不足が深刻な中小零細企業は、厳しい選択を迫られている。しかし、今、踏ん張らなければ、企業の存続にも影響を与えかねないのは誰しもが分かっていることなので、必然、インフレに向かわざるを得ない。2月時点の勤労統計を見ても、物価上昇に賃上げが追いついていない状況が鮮明だ。

2月実質賃金1.3%減、名目賃金増も物価上昇に追いつかず=毎月勤労統計

2月実質賃金1.3%減、名目賃金増も物価上昇に追いつかず=毎月勤労統計
厚生労働省が8日に公表した2月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比1.3%減少した。1年11カ月連続で前年割れとなった。名目賃金の上昇より物価の上昇が大きく、実質賃金の減少幅は1月の1.1%から拡大した。賃金の上昇が物価上昇に追いついていない状況が長期化している。

例え1回だけとは言え、6月に実施される減税措置による影響がどの程度出てくるのか?は見ものだ。夫婦2人子供2人だとして、12万円の所得税減税となる。

令和6年分所得税の定額減税の仕方

これにより、一時的にせよ可処分所得は増加する。現在大企業から中小企業まで賃上げが行われているが、今回の定額減税は、実質賃金の上昇にどう、影響があるだろうか?

現在の賃上げ動向を見ると、一人当たりの平均賃上げ額は5,500円となっており、これに定額減税額を加えると、年額で186,000円となり、賃上げはあくまでベース賃金のことなので、これに賞与分を加算すると、年額で20万円程度、可処分所得が増加することになる。

2022年中に賃上げを実施済み・実施予定の企業は85.7%。改定額は3年ぶりに5,000円を上回る 労働政策研究・研修機構(JILPT

これに実質的な消費者物価指数や家計の出費動向を加味すると、統計局の家計調査の数字だけ追いかけても、なかなか、厳しい状況は続きそうだ。

消費支出
消費支出(二人以上の世帯)は、 1世帯当たり 279,868円
前年同月比 実質 0.5%の減少 名目 2.8%の増加
前月比(季節調整値) 実質 1.4%の増加

実収入
勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、1世帯当たり 561,495 円
前年同月比 実質 2.5%の減少 名目 0.7%の増加

統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年― 

2020年基準 消費者物価指数

これらを踏まえ、当面の解決策として、例えばこれまで以上に消費税減税策を打ち出す党も出てくるだろう。或いは、今年度予算を批判して、歳出削減を尚一層言い出す政党も出てくるかもしれない。

以後、

・結局、何が問題?
・解散時期

続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。