少し前、浜松市天竜区を車で旅した記事を書きました。
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少し間が空いてしまいましたが今回はその続き。花桃を見に行った帰り、ちょっと立ち寄りたい場所があってので行ってみることにしました。
スローライフがはじまる駅:都田駅
やってきたのはこちらの建物。古民家っぽい建物にマリメッコの布が暖簾のように掲げられています。
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駅全体もマリメッコの暖簾が飾り付けられています。
実はここは天竜浜名湖鉄道の都田(みやこだ)駅。「Miyakoda駅 Cafe」さんは駅の中に店を構える「エキナカカフェ」です。
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待合室のテーブルもおしゃれ。
待合室の中もマリメッコ柄。天竜浜名湖鉄道開業時からある古民家風の建物とはややギャップがありますが、こんなリノベーションもなかなかいいものです。
かつてこの駅には薬局が入居していたそうですが、地元の建設会社、都田建設が寂れつつある地元を活性化させようと駅のリノベーションを行いました。ここに入居するカフェも都田建設が運営しています。同社の社長が北欧、とくにフィンランドの建築や家具、ライフスタイルに魅了されたことからこの駅の装飾もフィンランドのマリメッコが取り入れられています。
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11:00にカフェはオープン。土日祝のみの営業です。
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それでは中に入ってみましょう。
カフェの中もマリメッコ柄。ガラスの向こう側はホームになっていて電車を眺めることができます。
ホーム側にも2席テラス席があります。本数は多くありませんが通り行く列車を眺めながらお茶を楽しむことができます。
ケーキセット(800円を注文しました。こちらもマリメッコ柄。本日のケーキは洋ナシとアーモンドのケーキでした。毎週ケーキは変わるようなので今週はどんなケーキなのかお楽しみ。この日はあいにくの雨模様だったんですがケーキを食べながらのんびり時間を過ごすスローライフを楽しめました。いい休日です。
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実はこのカフェは日本スローライフマイスター協会の活動拠点にもなっています。持続可能な社会を実現するとともに、物質的な豊かさだけにとらわれず、心身ともに豊かに暮らすスローライフを実現できるようスローライフマイスター検定の実施などの活動をここを拠点にして行っています。
ローカル線の旅はゆっくり急がず。沿線の自然や景色を楽しむことができるのが魅力です。そんなローカル線の駅にスローライフの発信拠点があるというのもうなずけるというものです。
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下り列車がやってきました。
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乗降客はないまま静かに列車は次の駅に向かっていきます。
スローライフがはじまる駅、都田駅にぜひお越しください。
打ちたての笊蕎麦を食せる駅:遠江一宮駅
さて、お茶を楽しんでいるうちに時間は12:00近くになりました。お昼の時間ですので今度はお昼が食べられる駅に行きましょう(ケーキ食べたのに?)
やってきたのは遠江一宮駅。こちらもなかなか年季の入った駅舎です。
この駅は国鉄二俣線(現天竜浜名湖鉄道)が開業した昭和15年に建てられた当時のものが現在もそのまま使われていて文化庁の登録有形文化財に指定されているのです。
と、列車が入って来たのでホームに行ってみます。おや?この列車、都田駅で見たような…? わたしはここまで車で来ましたがどうやら途中のどこかで追い抜いてしまったようです。さすが、ローカル線はスローライフ。
話を本題に戻します。遠江一宮駅の駅舎内には百々(もも)やという蕎麦屋が入っています。これまた年季の入った暖簾の右にある「笊蕎麦」の文字。読めますか? ここは笊(ざる)蕎麦専門。メニューはざるそばか田舎蕎麦(蕎麦の実の甘皮も一緒に挽いた蕎麦)しかありません。
ホーム側、かつて改札があったであろう場所で店主が毎日蕎麦を打っているのですが、その様子をホームから覗くことができます。良質の殻付きの蕎麦の実をそのまま仕入れて石臼で挽いて手打ちする、店主のこだわりがここにあります。
写真を撮っていないのでいけませんが、わたしが訪ねたお昼どき、待っている方が何組かいらっしゃいました。地元の方もさることながら遠方から来ている方もいるようで百々やさんの人気のほどがうかがえます。お店の中はさほど広くはなく、お客さんも次の電車が来るまで店内で寛ごうと考える方がいるようです。焦らずゆっくり待ちましょう。
30分ほど待って案内され、田舎蕎麦を注文。素朴な円いざるの上に蕎麦が盛られてきます。うまい。蕎麦の風味をしっかりと感じます。しっかり腰のある蕎麦ですがつるりつるりと喉を通り、あっという間にいただいてしまいました。ここはまた列車で訪ねてみたいですね。
都田、遠江一宮と天竜浜名湖鉄道のエキナカ店舗を2軒ご紹介しましたがいかがだったでしょうか。天竜浜名湖鉄道では他にも浜名湖佐久米駅に喫茶店が入っていたり、天竜二俣駅ではラーメン店があるなどエキナカ施設が充実しています。
ローカル線を旅しながらぶらりとお気に入りの店に立ち寄ってみるのもいいと思います。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。