今しか見られない富士山×桜×五重塔の競演に酔う:山梨県『新倉山浅間公園』

外国人のみなさんが日本に旅行に来て何を見たいかと尋ねたとき多くの方は、

「フジサン!」
「サクラ!」

と答えるのではないでしょうか。それに加えて寺社仏閣を訪ねることも日本旅行の一つの楽しみです。中でも「ゴジュウノトウ」は一目見たい観光アイテムなのではないでしょうか。

そんな日本ならではの景色を一度に見られる。そんな贅沢な場所があります。

それが山梨県富士吉田市にある「新倉(あらくら)山浅間(せんげん)公園」。新倉富士浅間神社一帯に開けたこの公園からはこの季節「富士山」「桜」「五重塔」が一度に見ることができるということで多くの観光客が訪れます。

旅の始まりは富士急行線の下吉田駅。新倉山浅間公園まで歩いて行けるということもあって多くの観光客がここで下車します。この日は月曜日だったということもあるんでしょうが、下車した人の8割は外国人でした。

もともとこの公園は2011年に山梨県がタイの観光会社にPRしたことをきっかけに海外で人気の火がついたということもあって外国人からの人気が高いのです。

駅から公園に至る道からも富士山と桜の絶景を望むことができます。これから望むことができる更なる絶景に期待が高まります。

東京など太平洋岸ではすでに桜の見ごろは終わっており、だいぶ葉が出てきていますが、標高の高いこの場所では今(4月15日)がまさに見ごろ。満開の桜が出迎えてくれました。

富士山×桜×五重塔の絶景を見るためには桜のトンネルの中を抜ける境内の階段を昇る必要があります。段数は398段。「咲くや姫階段」と呼ばれていますがなかなかハードで「姫」っぽさはありません。

ただ時折階段から振返ってみれば、このように富士山と桜の織り成す競演を見ることができて疲れも吹き飛びます。富士山はこのエリアでしか見られないうえ天候が悪ければ見られません、桜はこの時期10日ほどしか見られません。年に数日しか見られないこの絶景をこの目で見られた幸せをかみしめながら階段を昇っていきます。

とはいえ……なかなかきつい!

なんとか五重塔の下まで昇ってきました。この五重塔の正式名は戦没者忠霊塔といいます。1962年に第二次世界大戦で死亡した市内の出身者を合祀するために造られたもので非常に歴史の浅いものです。ただこの立地に建てられたことで観光客の心を打つ絶景を生み出すこととなりました。

さて、富士山×桜×五重塔の絶景を見るためには展望台まで昇らないといけません。私がついたのは午前9時前でしたがすでに大行列。平日でこれですから土日だったらどれだけ並ぶのか…と思ってしまいます。ただ待っている場所は満開の桜の下ですし、富士山も見える最高のロケーションですので待っている時間も苦になりません。

待っている間も桜を撮って楽しみます。

富士吉田の街の向こうに聳える富士山。

そんな景色をカメラに収めつつ待っているといよいよ私たちに撮影の順番がやってきました!制限時間は5分。1枚でもいい写真を!とベストポジションを奪い合いながらカメラに富士山×桜×五重塔の絶景を収めていきます。

日本人でも運がよくなければ見ることができない富士山×桜×五重塔の絶景のコラボレーション。最高の天気に恵まれてこの景色に出会えたことを本当にうれしく思います。日本人に生まれてよかった!と思えた瞬間でした。

5分の撮影タイムを終えて階下に写ります。五重塔前は桜や桃が咲き乱れ、ザ・日本の春といった風景を演出していました。

海外から逆輸入で人気の観光スポットに変わっていった新倉山浅間公園は日本人もうなるほどの春の日本を堪能できるスポットです。ぜひみなさんも一度足を運んでみてください。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。