危機管理体制どうなってるんだこの事務所…
北村紗衣「被告が寄付金を集めるビジネスモデル、他人を煽ってお金を集める行為が勘案された」
北村教授への誹謗中傷について、東京地裁が加害者に220万円の高額賠償判決を命じました – 武蔵小杉合同法律事務所
現在の日本では、ネットで他人に対して誹謗中傷や嫌がらせを行い、被害者から訴訟を起こされるとお金を募って多額の寄付金を集めるという行為が横行し、もはや一種のビジネスモデルと言えるような状態になっています
~中略~
一般的にこうした人々は他人の心を傷つけることでお金を稼いでいるわけであって、このようなビジネスモデルを放置しておくことは世の中全体に悪い影響を与えます。そのままにしておくと真似をする人も出るでしょう。今回の判決で、こうした他人を煽ってお金を集める行為が勘案されたのは画期的なことだと思っています。
武蔵大学人文学部准教授(現教授)の北村紗衣が雁琳(旧ネーム「永観堂雁琳」、本名:山内翔太)を名誉権・名誉感情侵害の不法行為として訴えた民事訴訟の判決が令和6年4月17日にあり、慰謝料200万円と弁護士費用20万円の合計の220万円の請求が認容されました。
上掲文章は、それを受けて北村氏の代理人弁護士が所属する武蔵小杉合同法律事務所のHP上に掲載された北村氏のコメントです。
「ビジネスモデル」って言っちゃっていいんでしょうか?
この事務所、原告に新たな争いの種を撒かせてるんですが、リスク管理はどうなっているんでしょうか?
東京地裁判決では「雁琳カンパ罪」:「本件訴訟のカンパ募集は同調者を煽る行為で慰謝料増額事由」
令和6年4月17日に判決言渡しがあった東京地方裁判所令和4年(ワ)第4632号では、「本件訴訟のために公然といわゆるカンパを募ることは、同調者をあおるものといえる。これらは、原告の慰謝料増額事由として評価すべきである」とされました。
これが「雁琳カンパ罪」と言われて批判されています。その問題点については上掲記事で説明しているのでここでは割愛します。
ただ、東京地裁は少なくとも「ビジネスモデル」とは言っておらず、訴訟のためのカンパ募集が「同調者」を煽っているとは言っているものの、「同調者」を煽ることで訴訟のためのカンパを得ているとまでは言っていないように見えます。
裁判所の建前としては、結果として煽ったことになってるから精神的損害が増えたので慰謝料増額、という理屈になっています。
さらに、こうした行為が「ビジネスモデル」とまで言えるのでしょうか?
今回、雁琳は「被告」の立場であり、訴えられるかどうかは原告の選択次第です。時と機会を北村側が握っており、雁琳側は受動的でしかありません。実際、雁琳氏がカンパ募集したのは訴えられた後です。訴訟になるかどうかは不確定である上に寄付金の額も分からないにもかかわらずビジネスモデルという評価は支離滅裂でしかないでしょう。
この主張は、少なくとも判決文に現われた原告の主張ですら見られることはありません(他の書面や法廷でどういう主張があったかは未確認)。
こうした無理のある論評は、450万円の支援金が集まったという結果を見てから言っているだけであり、実態と乖離していると言えるでしょう。
現実は、むしろ訴訟を提起する原告の立場の者が経済的余裕や多数の支援者を背景に政策形成訴訟をしたり、言論に対する圧力をかける例の方が目立つと言えます。
その例として、元朝日新聞記者の植村隆が、「捏造をした」という批判に対して訴訟提起した事案が挙げられます。この際は170人の弁護士が代理人として付いており記者会見まで行っていましたが、「捏造」という指摘には真実性や真実相当性が認定され敗訴しています。
「現在の日本ではネットで誹謗中傷をして訴えられたら寄付金を集めるという行為が横行している」?
前掲北村氏のコメントは「現在の日本ではネットで誹謗中傷をして訴えられたら寄付金を集めるという行為が横行している」という前置きがありますが、果たしてそんな「横行している」という状況はあるんでしょうか?
以下の主張にあらわれているように、本件訴訟以外での効果を狙ったものでしょう。
今回の判決が、ネットで中傷を受けている方々にとって良い先例となることを祈っております。~中略~ ネットで中傷を受けている性的マイノリティや民族マイノリティ、アクティビストなどには私よりもっと執拗な攻撃を受けている方がおられます。比較的高額な賠償金や、寄付金集め行為の問題性に言及した判決文が先例となることで、他のもっとひどい中傷を受けている方々が訴訟を有利に進めることができるようになるかもしれません。
気になるのは、なぜ「ネット」に限定しているのか?ということ。
テレビや新聞・週刊誌の記事で、遥かに悪質なケースが昔からあるのだから、誹謗中傷記事の売上へのサンクションという形の制度設計を求めるという方向性は一理あると思われます。
現在の日本の不法行為に基づく損害賠償請求制度が「損害の填補」となっているのに対して「不法行為=誹謗中傷によって得た利潤の吐き出し」をさせるような制度になることは、私は賛成です。
草津町の冤罪事件のように、虚偽の主張に付き合ったビジネスが現実にあるからです。
しかし、「被告による訴訟支援のためのカンパの募集」は、それ自体が誹謗中傷ではないし、誹謗中傷を煽るものとも言えません。
北村氏がそうした方向にも非難を向けるのであれば賛同するのもやぶさかではないのですが…
編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2024年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。