演説妨害・選挙妨害に対応しなくなった警察組織…「大動画時代」にふさわしい法改正が必要か

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

警察からの「警告」もほとんど意味をなさず、特定陣営による選挙妨害が今日も繰り返されています(幸い、維新陣営は本日のところは遭遇しませんでしたが…)。

様々な妨害動画が流れてきて、多くの人が疑問を覚えていると思います。本当に警察は何もできないのか?現行法では対応できないのか?と。

私の考えを結論から言うと

現行法でも対応は可能なはずだが、警察が極めて慎重・及び腰になっている。そのため、法改正をせざるを得ないのではないか

というものです。

多くの人が指摘をしている通り、警察が選挙妨害に対してほとんど何も対応をしてくれなくなったのは、札幌における事件がきっかけだと思います。

ヤジによる演説妨害を警察が排除したところ、これが妨害側の「表現の自由」を侵害したとして警察側が地裁で敗訴。演説妨害に対応した警察に賠償命令が下される展開に。

これ以来、迷惑行為に対する警察の対応は本当に慎重になってしまいました。ただ、高裁では一部の判決が逆転しています。

やじ排除で賠償命令 男性の訴えは退ける 札幌高裁
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230622/k10014106691000.html

>一方で、男性の原告については「やじを飛ばして隣にいた聴衆といさかいになったほか、その後も演説車両に詰め寄って大声を上げるなどした。警察官が、直ちに阻止しなければ物を投げるなどの危害が加えられてしまうと判断したことには客観的合理性が認められる」と指摘し、賠償を命じた1審判決を取り消す逆転敗訴の判決を言い渡しました。

この「詰め寄って大声を上げる」などで危険性を判断して警察が対応したことに合理性が認められるなら、当該陣営による一連の迷惑行為は明らかにこのラインを踏み越えているでしょう。

ただ、今回の件でややこしいのは、妨害行為をしているのが立候補者であるという点です。確かに候補には一般の聴衆よりもさらに強く「表現の自由」が認められる蓋然性は高いと言わざるを得ません。

しかしそれでも、立候補者及びその運動員といえ、選挙の自由妨害罪の例外ではありません。

警察側としては、次回も裁判で負けるわけにはいかないという想いから、候補者に対しては慎重に慎重を期して悪質性を示す証拠を積み重ねているのだと思います。

gyro/iStock イメージ(編集部)

警察の対応がまだどうなるかわからない中、少なくとも選挙戦の半分が特定陣営の妨害行為によって台無しになってしまったことは残念でなりません。

規制やルールを増やすことはまったく本意ではありませんが、やはりこの情報化社会・大動画時代に対応できる具体的な法改正を行わざるを得ないと考えます。

これまでは無視することが最善手だった迷惑行為についても、チャンネル登録者や動画収益を目当てに放っておいても獲る(撮る)ものを獲っていく相手がいることを考えれば、対処方法をアップデートする必要があります。

警察組織が対応をしやすくなるように選挙妨害の具体例(例えば気勢を張りながら演説を遮る、動画を取りながら近づくこと等)をどこまで法律に書き込めるか、週明け早々に法制局と打ち合わせをする所存です。

今国会中に法改正に着手しなければ7月の都知事選、その後の衆議院選挙でも同様の妨害が横行する可能性がある以上、事態は急を要します。

議員立法による法改正なら国会中、6月までなら可決できますから。

これは党派を超えて選挙制度を、民主主義を守る闘いです。心ある議員・政治家たちと力を合わせて対応していきます。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年4月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。