オーケストル・ド・パリ(パリ管弦楽団)&主席指揮者クラウス・マケラ。
その前に、フィルハーモニー・ド・パリの6階に誕生したレストラン「ランヴォル」でディナー。
パリ一望、ペリフェリックを走る車のライトがきれい。エッフェル塔もちっちゃく見える。ミシュラン1つ星「アノナ」のチボー・スピワックがメニュー作っているのでそれなりにおいしい。でも、まだオープンしたてだからかサーヴィスが全然追いつかない。私たちも、デセール食べる時間なく、下に降りる。落ち着いたらまた来たいね。演奏会後に夜景見ながらカクテル飲むのもいいかも。
さて演奏会。
現代作曲家アンナ・ソルヴァルドスドティール(って読むの?Thorvaldsdottir。北欧難しすぎる・・・)の、22年にできた”Archora”の、フランス初披露。飽きることもない洗練されたコンテンポラリー音楽。オルガンやパーカッション群の使い方面白い。作曲家も現れてご挨拶。
次は、ショパンのピアノコンツェルト1番、ソリストはダニール・トリフォノフ。
過去2度聴いてて、上手のは分かるけれど感情はそれほど揺さぶられななかった、ちょっと相性悪い人気ピアニスト。
今夜は、木管的で柔らかなピアノの響きで、丁寧に、哀愁と諦念を感じる演奏。ただやっぱり、一音一音の響きに魂を感じづらい。拳を効かせて悦に入っちゃう彼の雰囲気が、多分あまり好みじゃない。過去2回に比べたら悪くはないけれど・・。
オケは、出だしから重たい。重たいし、冗長。もちょっとコンパクトな感じの方が、この曲にもトリフォノフにも合ってるんじゃないかな。
アンコール、モンポウによるショパン28-7の変奏曲。オリジナルを聴くと、日本人は太田胃散を思い出し、バレエ好きは”ザ・コンサート”のコメディー2シーンを思い出す♪
20分くらいの曲を、どっぷり自分の世界に浸って奏でるトリフォノフ。音源でも聴いたことなく初体験、おもいっいり溜めを効かせたジャズっぽさも感じる演奏を、「上のラウンジでカクテル飲みながら聴きたい雰囲気」と言うと、知人は「でも、演奏会としてはちょっと・・・」と口をへの字にする。家に戻って音源で聴き直したら、知人が言った言葉がよくわかった(笑)。
後半は、シュトラウス”英雄の生涯”。大好物♪
なのに、出だしからがっかり。冒頭のホルンと低弦が揃わず、英雄が3~4人いるように聞こえてしまう。揃うべきところが揃わず、その度に高揚が削がれがっくりする。敵との戦いの部分は、マケラ渾身の指揮に乗り、勢いと高らかさと激しさで聞き応えあり。マケラが将軍に見えて、素晴らしかった。
”ラテンのオケだから揃わないのは仕方ない”と知人は言う。とはいえ、出だしの揃わなさに加えてパートごとの音も微妙にずれて音が揺らいで濁る感じがどうしても気持ち悪い。シュトラウスやワーグナー、ブルックナーにマーラーは、やっぱり、深みと重みを存分に楽しませてくれる非ラテンで聴きたいな。月曜日、コンセルトヘボウのブルックナーがあったのに、食事が入ってキャンセルしたの、残念。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。