『Wedge』5月号の平成特集に寄稿しました。

誹謗中傷への対応のため、ご報告が遅れましたが、近日よくお世話になる『Wedge』の5月号(今月20日刊)に寄稿しております。

同誌はそもそも、元号が「平成」になって最初の年度初めだった1989年4月の創刊なので、今月で35周年。それを記念した「平成」特集が、来月出る号との2号連続の予定となっています。

上・下合わせると相当コンパクトに「私たちの同時代史」が学べる資料集になるはずです。書店で購入できるほか、東海道新幹線のグリーン車に乗ると無償でシートのポケットに入ってるので、連休に利用予定のある方は忘れずに取っておいてください!

今号も、各分野の文字どおり「第一人者」の方々に混じって寄稿することができ、光栄に思っています。拙稿の分量は4ページで、見開き2回分。もちろん既刊の『平成史』を踏まえてはおりますが、同書の後に起こったたとえばウクライナ戦争なども考察に加えて、いま、自分が考えている色々なテーマをほぼすべて、盛り込んで書けたかなと思っています。

チラ見せで、冒頭部のみこちらに載せますので、ご関心を惹きましたら手に取ってくだされば幸いです!

忘却の時代・平成
いま、私たちが取り戻すべき「歴史」

過去を振り返る営みを〝忘却した〟時代ともいえる平成。
失われた「憂う」「惜しむ」「悔やむ」感情を回復するためにも、歴史を取り戻す試みが必要だ。

昭和とは、過去を背負い込みすぎた時代だった。そして令和のいま、私たちは未来を過剰に背負わされている。

われこそは未来の使者だと自称する人が次々に現れては、「将来生まれる子どもたち」の名を語って(騙って)私たちを非難する。いわく、彼らが温暖化した地球で苦しまないように、火力発電所を止めるべきだ。一方でやはり彼らのために、原子力発電所もなくすべきだ。

はたまたAIとロボットが全てを担う、地球のどこでも実現を見ていない社会の基準で、他人の仕事を「消える」「要らない」と侮辱する。やはり現状では採用する国のない、ベーシックインカムが実施されると勝手に想定して、だから働く意欲も必要もないと居直る。

どうして、こんなことになったのか?

その鍵を握る時代が平成だ。それは日本人が歴史を見失い、過去を振り返る営みを忘れ、ありもしない未来に釣られて蠢く群れのようになる30年間だった。……(続きは同誌にて)


編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。