専門家の発言を鵜呑みにしてはいけない

黒坂岳央です。

去年から、スキルアップの一環として様々な技術向上に手を出している。料理教室、ボイストレーニング、パーソナルトレーニングジムだ(合わずに今はやめてしまったものもあるが)。

自分に知識がない時代、「専門家の言うことは絶対であり、間違えることはない」と考えていた。しかし人に技術を教える先生の立場でも、明確に間違いを犯してしまう事があると、大人になって気づいた。

問題は本人がその間違いにまったく気づかないまま、指導を続けていることが少なくないということである。自分自身もそうならないように気をつけるようにしている。

Deagreez/iStock

専門家が間違える理由

なぜその道、何十年のプロ中のプロの専門家が間違えてしまうのか?その理由は2つある、それは技術や知識が停滞していること、そして専門家の立場故に疑わなくなってしまったことにある。

たとえば料理教室で栄養士の資格を持つある人物から、「タンパク質を取りすぎると内臓に負担がかかる。たとえ筋トレをしてもプロテインは推奨しない」と自分がプロテインをとることに否定的な意見を言われたことがある。筆者はこの言葉に疑問を持ち、自分で調べてみた。

厚生労働省が2020年に発表した日本人の食事摂取基準によると、タンパク質の過剰摂取について言及されており、その健康障害の根拠はないとある。こちらも厚生労働省の調査で明らかにされているが、むしろ日本人の平均タンパク質摂取量は「ダイエットブームなどの影響を受け、日本が貧しかった高度成長期と同レベル」とされている。特に自分のように筋トレをしている人間にとっては、過剰を怖がるよりむしろ不足分を積極的にプロテインなどで補うことに合理性がありそうだと結論に至った。

専門家によっては、自分が学習した時期の科学技術に基づく理解で停滞している事がある。だが、いかなる分野も時代の変化とともに常識が覆されることはよくある。一度、疑わなくなってしまったら間違った知識を広げることになる。これは主張を聞く人が被害を被るばかりか、専門家自身の権威を落としてしまうのでとても恐ろしいことだ。

知識のアップデートを止めてはいけない

専門家が間違えないためにはどうすればいいだろうか?答えはシンプル、常に勉強を続けることだ。そして自分の知識や技術を疑うことである。

自分自身、英語学習の技術を提供する立場である。しかし、自分を過信することはしていない。昨今AI英会話やアプリなど、次々と従来にはなかった学習スタイルが登場しており、自分が学んでいた時期より合理的な方法論は登場している。間違いは積極的に認め、自分自身を進化させる重要性を理解しているつもりだ。

筆者の主張に「これはAではなく、Bではないか?」と意見をくれる場合がある。すべてがそうではないが、時には「確かに指摘のとおりだ。自分の認識を改めねば」と新たな気付きや改善につながることもある。大変ありがたいことだ。

無駄なプライドを持って「専門家に意見するなど生意気な」という態度でいると、退化して損をするのは自分である。専門家だからこそ、見えづらくなっている弱点を抱えていると考えて、サグラダファミリアのようにずっと工事中という意識でオープンでいることは重要だ。

昨今、SNSで一瞬で拡散されてしまう時代だ。専門家という扱いを受けているのに、稚拙な間違いを出し続けてしまうと信用問題につながる。常に勉強を続け、自分の知識や技術を疑い、間違いの指摘には素直に知識のアップデートをする姿勢でいたいものである。

 

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