「世界ではコロナワクチン接種を中止しているのに対して、日本のみが接種を続けている」という説が、ネットで流布されています。
この説が本当に正しいのかどうか以前より少々気になっていました。今回は、この真偽を確かめてみました。
結論から言いますと、これは明らかな間違いです。
2023年の秋~冬のコロナワクチン接種は海外でも実施されています。しかも、接種率を調べますと、2023年の秋~冬の海外の接種率は日本のそれと大差ないのです。日本:22.7%、アメリカ:20.9%、イギリス:17.7%、カナダ:16.9%でした。
まず、日本語で検索してみました。
アメリカ(日経新聞、2023/12/19):米国ではインフル、RSウイルスのワクチンに加え、9月にはコロナの追加接種の提供も始まった。だが感染が拡大している12月2日時点で、コロナ追加接種の接種率は18歳以上で17.2%、重症化リスクが高いとされる65歳以上でも36%にとどまっている。
イギリス(日テレNEWS、2023/08/09):去年秋のガイドラインでは、50歳以上を接種の対象としていましたが、8日に発表したガイドラインでは、基礎疾患のある人などを除き、65歳以上が対象となっています。イギリスの保健当局は「ワクチン接種は、引き続き重症化リスクが高い人々に焦点を当てる」としています。
ドイツ(在デュッセルドルフ日本国総領事館、2023/09/21):2023年9月18日時点、すべてのドイツ国内の診療所・薬局において、コロナワクチンの追加接種が開始しております。現時点で接種を推奨されているのは、60歳以上の方、既往症をお持ちの方、医療従事者です。
韓国(聯合ニュース、2023/09/26): 接種が積極的に勧告される対象は▼65歳以上の高齢者▼12~64歳の免疫低下者▼感染リスクの高い施設の入院・入所者、従事者で、12~64歳の一般国民も希望すれば接種を受けられる。接種期間は来月19日から来年3月31日まで。疾病管理庁は「多くの人が冬季接種に参加するよう促すために接種終了日を設定した」と説明した。
欧州(ジェトロビジネス短信、2023/09/05):EU加盟国当局が冬季に向けて秋以降に実施するとみられるワクチン接種計画について、EMAとECDCは、60歳以上の高齢者、免疫不全疾患や基礎疾患のある人、妊婦に対する優先的なワクチン接種を実施すべきとしている。また、医療従事者に対する優先接種も検討すべきとしている。さらに、80歳以上や免疫不全疾患のある人など、特にリスクの高い人に関しては、4カ月以上の間隔で追加接種が必要になる場合があるとしている。
次に、英語で2023年の秋~冬のコロナワクチン接種率を調べてみました。
アメリカはCDCのWebサイトに接種率が記載されていました。2024年3月の時点で、2023-2024年の18歳以上の接種率は20.9%でした。
イギリスはNHSのWebサイトに接種率が記載されていました。接種者は2024年2月の時点で、11,827,142人と報告されていました。人口を6697万として、接種率は17.7%でした。
カナダは政府のWebサイトに接種率が記載されていました。XBB.1.5 Vaccineの5歳以上の接種率は16.9%でした。
日本は、厚労省のWebサイトに接種率が記載されていました。2023年秋開始ワクチンの接種率は全体で22.7%でした。
探せば他の国の接種率も見つかるかもしれませんが、以上で十分と考えられます。
「2023年の秋~冬のコロナワクチン接種は海外でも実施されており、その接種率は日本のそれと大差ない」ということが真実です。
もしかしたら、全く接種していない国があるかもしれませんが、日本だけが接種を続けているという主張は明らかな間違いです。OurWorld inDataは2次情報ですので、少しでも疑問を抱いたら地道に1次情報を確認することが大切なのです。